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HSBCが見たベトナムの経済

ベトナムにおける 利下げ観測


HSBCのアナリストは、近年ベトナム国立銀行(中央銀行)が実施した金融政策の中でも、特に公開市場操作を調べた結果、今後数ヶ月の間に利下げする可能性があるとみています。
ベトナムの実質金利がプラスに転じ、インフレ率は今後5ヶ月ほどの間に0%~1%程度上昇し、2015年末には2.8%になるとみられています。我々は中央銀行の利下げに注目する必要があると考えています。
 

翌日物レートは流動性を反映

 
ベトナム経済は堅調で、インフレ率も政府の年度末の目標値である5%未満に留まっています。旺盛な製造業輸出に牽引される一方で内需は依然として弱く、つまり回復しているものの脆弱な状態です。小売の売上高はこの脆弱性を示しており、PMIの改善もわずかなものです。インフレが加速する可能性がなく、まだ生産余力がある状況であれば、中央銀行は利下げを実行すべきであると考えられます。
翌日物レートは銀行間の資金供給レートであり、市場そのものを反映しています。我々の調査では銀行は公開市場操作により供給される、コストが安い翌日物の資金をよく利用することがわかっています。つまり、翌日物レートは市場の流動性を反映しているということです。
中央銀行は様々な手法を介して市中の銀行に資金を供給します。中央銀行は市中銀行からあらかじめ決められたレートで売り戻す条件付きで、ベトナムドン資金を市中銀行に供給するために債券を買い取り、市場の流動性を調整します。
 

影響力のあるレポ・レート

 
公開市場操作レートは「レポ・レート」と呼ばれており、現在は5%に設定されています。中央銀行が資金流動性を減少させる時は、市中銀行が一定レートで中央銀行の債券を購入することにより、マーケット資金を吸収します。
通常、翌日物レートはレポ・レートより低いのですが、レポ・レートを超えた場合は市場流動性が減少して、レポ・レートの影響力が現れます。この場合、中央銀行は流動性を供給するか、またはレポ・レートを下げるかにより、短期市場金利に影響を及ぼします。
レポ・レートは2011年以降、翌日物レートを超えた状態にあります。それは市場に過剰なベトナムドンの流動性が存在しており、市中銀行は公開市場操作ではなく銀行間市場から資金調達をしているという状況です。
中央銀行は2007年まで、市場にほとんど流動性を供給したことはありませんでしたが、2008年~2011年、公開市場操作により資金供給をして市場緩和をしてきました。2012年以降、中央銀行は公開市場操作の額を急激に減少させ、市場の引き締めを行っています。
 

我々の予測

 
強い資金需要と資金貸出成長により市場の流動性が低下して、翌日物レートはレポ・レートに近づいています。要するに、市中銀行がレポ・レートで資金調達するインセンティブが発生しているということです。
歴史的に中央銀行は金融緩和政策を実施してきており、実質金利はかなり低い水準にありました。言い換えれば、インフレ率が政策金利を大幅に超えていました。しかし、最近数ヶ月間で実質金利は上昇しており、利下げを実行して、インフレ率をより望ましい水準に近づけていくことが予想されます。
結論として、我々は中央銀行が政策金利、つまりレポ・レートを0.5%下げることにより、今年のレポ・レートは4.5%になると見込んでいます。
足元の需要は堅調ですが、2015年後半以降に悪影響を及ぼす可能性の考えられる、原油価額の動きやFRBの利上げ等のリスクについて、中央銀行は警戒姿勢を強めています。

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