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HSBCが見たベトナムの経済

引き続き注意が必要なベトナム経済


2015年第1四半期のベトナム経済は、好調な滑り出しにもかかわらず、まだ慎重論が大勢を占めています。
全体的には強含みですが、国内需要の改善にもかかわらず外部環境は悪化しているため、まだ注視していく必要があります。ベトナムの輸出の伸び率は依然として東南アジア地域の中では高いものの、前年同期比で12.7%から6.4%に減速し、国内企業からの輸出は競争力の低下により減速しています。

 

観光産業の低迷

 
ベトナム経済は堅調で、インフレ率も政府の年度末の目標値である5%未満に留まっています。旺盛な製造業輸出に牽引さ 観光部門は韓国人観光客を除き、オーストラリア、中国、そして日本からの旅行者が減少しており、前年比-13.7%と減速しています。通貨の競争力が弱まっていること、さらにはビザ取得手続きの費用や、煩瑣な手続きなどインフラ面でのサポートが乏しいため、外資系企業にとってのベトナムでのビジネスはより難しいものとなっています。
 

強い逆風……

 
ベトナムの理想的な人口構成は、国の労働コスト競争力と国内需要の発展に貢献してきました。FDIの持続的成長は、製造拠点としてのベトナムの魅力を意味しています。価格/品質比はベトナム製品に競争力をもたらし、実際に労働集約型の産業が堅調に推移しています。
しかしながら、最新のPMIからは製造業の持続可能性についての懸念が見えてきます。3月のPMIは前月の51.7から50.7に低下しています。これは新規受注の低下と雇用の収縮によるもので、後者は長期的な問題を反映しており、注視する必要があります。高等教育システムの遅れは、高度な技術を持つ労働力を求める企業の需要に対応できず、労使関係ではデモなどもあるため、引き続いて注意が必要になります。
 

輸出を加速させる外資系企業

 
過去5年間、ベトナムに継続的な投資をしている外資系企業による輸出の急拡大は、特筆すべきものがあります。国内企業にとっては、グローバルサプライチェーンを活用して効率化を図る機会を得られるため、必ずしも悪いことではありません。一方では、ベトナム企業の国内投資はプロセスに時間がかかり、FDIによる技術革新の恩恵をあまり享受できない状況が続いています。
国内企業の技術革新を促すため、税制優遇などによりハイテクな外国企業からのFDIを促さなければ、FDIから享受できるメリットは限られています。
 

輸入のリバウンド

 
輸出が鈍化している一方で、輸入は強い内需により反発しています。ベトナムの主要な付加価値は依然として労働力であり、輸入成長率の伸張によって示されるように、主要な原材料の多くは輸入されています。
これは短期的には問題とはなりませんが、国内企業の中長期的な成長のためには考慮する必要があります。憂慮すべきは第1四半期に78.5%の伸びを示した、自動車など耐久消費財の輸入の急激な増加です。金融機関の貸出しの伸び率が15.5%となったことを鑑みると、この伸びは非常に大きなものです。ブルームバーグによると、ベトナムの中央銀行は6.2%の政府の成長目標を達成するため、貸出しの伸び率を13~15%から17%に引き上げるとしています。
貸出しを増やすことにより輸入の需要は増加し、貿易赤字を悪化させることになります。銀行産業の改革がゆっくりと進む中での急速な貸出しの伸長は、不動産などでは特に注意が必要です。
国内企業の輸出の減速や観光セクターの低迷は、経済の下振れリスクをもたらしています。国内需要は2015年第1四半期には堅調でしたが、見通しは脆弱なままです。従って、ベトナム経済には引き続き注意が必要です。

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