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NNAベトナムが行く! ベトナムの「ホント」のところ

なぜ何度も切れる? 海底ケーブルの謎 vol.1


3年で8回のトラブル

「あ~、まただ…」。ベトナムで働き始めて3年。パソコンを前に何度この言葉を吐いたか。海底ケーブルの切断による、インターネットの接続スピード低下だ。通常の30分の1に遅くなったこともあった…。もともとベトナムの接続スピードはアジア太平洋で下から2番目という調査もあるが、切断が起きると、ネット環境が少しでもましなカフェを探し回る羽目になる。
切断は2012年8月以降、8回起きている。復旧まで2週間程度かかるケースもあり、影響は大きい。なぜこんなに切れるのか?
光ファイバーを束ねる海底ケーブルは、直径2~4cmほどと意外に細い。ベトナムは、海外とのデータ通信に4本の光海底ケーブルを利用しており、うち最大の容量を持つ全長約2万kmの「アジア・アメリカ・ゲートウェイ」(AAG)は、太平洋を挟んでマレーシア~米国本土を結ぶ。ベトナムを結ぶ支線は長さ約314kmで、ブンタウに陸揚げされているが、この支線が頻繁に切れる。
原因は諸説ある。サメ犯人説や設計過程に問題があったとする報道もあるが、国営ベトナム郵政通信グループ(VNPT)は、「浅瀬での頻繁な船舶航行が事故頻発の背景では」と推測している。ただ、日本の浅瀬ではケーブルは海底に埋めて保護するほか、漁船が近寄らないよう監視する船舶も巡航させる。ベトナムのネット事情に詳しい関係者は、「通信事業者による海底ケーブル運営のノウハウ不足」の可能性も指摘する。

新ケーブルで事態改善か

3大キャリアのFPTテレコム、VNPT、ベトテルはいずれもAAGを利用しているが、切断時の影響度は異なる。VNPTは接続スピードが極端に低下しないとされ、AAGへの依存度が比較的低いとみられている。ホーチミン市でITオフショア開発を手掛けるインディビジュアルシステムズの場合は、「3キャリア全ての回線を契約しているので、切断の際もどれかでは業務が遂行できている」(浅井崇氏社長)。
キャリア各社も手をこまねいているわけではない。VNPTとベトテルは、日本と中国、シンガポールなどを結ぶ海底ケーブル「アジア・パシフィック・ゲートウェイ」(APG)の建設計画に参画している。さらにベトテルは、アジア、欧州、アフリカ間を走る「アジア・アフリカ・ヨーロッパ1」(AAE1)計画にも参加。どちらも来年にも運用が開始される予定で 、AAGへの依存度低減が期待される。
だが、ベトナムのネット事情に詳しいNTTコミュニケーションズ(ベトナム)の長谷川欣也社長は、「海底ケーブルは、コンセントのようにつなげよいわけではない」と指摘する。各キャリアが、データ通信の需要予測をした上で投資を実施し、必要な容量を確保する必要があるという。また、切断時の迂回ルートなどバックアップも重要。実際にネット事情が今後どれぐらい改善するか、不透明な部分がまだ大きそうだ。

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