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NNAベトナムが行く! ベトナムの「ホント」のところ

待ったなし! ホーチミン市の生ゴミ問題 vol.2


「これは生ゴミじゃないな。混在しているとリサイクルしにくくなる…」。昼下がりのホーチミン市の路地裏。一人の日本人男性が生ゴミの山に素手を突っ込み、取り出した食べかすやプラスチックを、値踏みするようなまなざしで解説する。ゴミ回収を担うオレンジの制服を着た職員や資料を手にした日本人たちが、一斉に聞き入った。

男性は河井紘輔博士。国立環境研究所(茨城県つくば市)で東南アジアの都市ゴミ問題を研究する専門家だ。1区で調理くずや食べ残しといった生ゴミの分別回収を支援する、日本の環境省によるプロジェクトのアドバイザーでもある。「改善の余地がありますね」と汗を拭いながらつぶやいた。

8割以上が埋め立て

ホーチミン市で1日に排出されるゴミは約7500tonあり、年8%ずつ増えている。直接埋め立てされるゴミは日本では全体の1.4%だが、ベトナムの都市廃棄物では、その比率は85%に上る。

埋め立て処分は公害を引き起こす。クチ郡にあったフオックヒエップ処分場は悪臭や周辺河川の汚染が原因で閉鎖され、残る処分場はビンチャイン郡のダーフオック処分場のみだ。

燃やして灰にすれば約10分の1に減量されるため、ホーチミン市も焼却設備の導入に動いているが、整備には時間もコストもかかる。そこで、全体の約7割を占める生ゴミの分別が注目されている。分別すれば生ゴミは堆肥として再利用でき、発酵過程で発生するメタンガスから発電もできる。焼却する廃棄物の削減にもつながる。増え続けるゴミに悩む市は、既に一部地域で分別回収に乗り出している。

分別をクールに!

協力に乗り出したのが、大阪市環境局や河井博士らだ。市は2013年から1区ベンゲー地区で家庭ゴミから発生する生ゴミ分別回収に取り組んできたが、今年は対象を200世帯余りに拡大。環境省が支援するプロジェクトとして、住民の意識向上に取り組む。

住民からは、「思ったほど面倒でない」や「他の地域にも広がって欲しい」と前向きな意見も聞かれるが、河井博士は、「コミュニティーリーダーに働きかけて、強い共同体意識を活用することが非常に重要」と課題を挙げる。大阪市の関係者も、「大阪でも20年以上かけて取り組んできた」と先を見据える。

最終的な理想は、生ゴミをメタン発酵させた際に発生する排水を肥料として利用して、安全・安心な野菜を育て、生ゴミが排出された地域で消費する循環型社会。プロジェクトのコンサルタントを務めるサティスファクトリーインターナショナルの羽山和行取締役は、「実現には市民の行動デザインが必要。『分別は良い』という意識を広めたい」と意気込む。成功すれば、東南アジアの大都市が共通して抱えるゴミ問題に新たな解決方法を提案できる。河井博士たちの「分別はクールだ」を広める奮闘が続く。

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