ビジネス

Business

HSBCが見たベトナムの経済

中国経済における
7つの注目事項


中国経済は引き続き減速し、年内にも米国の利上げが予想されていますが、HSBCは今後を見据えて、下記の7項目に注目しています。

深刻な事態ではない

① 中国は人民元安に向かってはいない。世界的な通貨安にも関わらず、中国は近年、人民元を安定的水準に保ってきました。直近の固定通貨政策はスポットレートの低下を招いてきましたが、引き続き人民元は強含みで、今回が通貨安への第一歩となるとは思えません。現在の中国における問題は住宅建設バブルであり、通貨の過大評価ではありません。

通貨安施策でバブル問題を解決するのは難しく、逆に状況は悪化しかねません。通貨安期待は資本の流出や、今後の中国経済に必要となる中央銀行による量的緩和を難しくする要因でもあります。中国は引き続き人民元を国際通貨化することを強く望んでおり、通貨安はその目的には適っていません。

② 中国経済の今後。中国の経済指標が悪化する中、住宅販売はここ数ヶ月の間に上昇に転じています。一部統計ではGDPの20%以上を占める住宅建設は引き続き減速していますが、デベロッパーは在庫を処分し始めており、資金繰りは改善されています。上記により不動産建設は今後安定する見通しです。過去の施策と比べて有効性では劣るかも知れませんが、中国当局が今後何らかの対策を取らずに経済の減速を放置するとは思えません。

③ 97年との相違点。1997年のアジア通貨危機のトラウマはいまだ根強いものの、今回は3分野で決定的な違いがあります。ほとんど国で高い外貨準備を保持、多くの市場で比較的強固な当座預金を推移、各国での債務は主にローカル通貨建て。これらにより危機を回避し得るとは言えないものの、その可能性は低くなっています。

④ 外貨準備高の有効性。外貨準備高は、通常ローカル通貨の市場での脆弱性を補完する役割を果たします(中央銀行がドルを売ってローカル通貨安を買い支える)。外貨準備高の増大は、ローカル通貨債の購入、もしくは為替介入によりローカル通貨の金利抑制に利用可能です。

現状の沈静化が第一

⑤ 資金は多少減少しても引続き潤沢。要するに問題は、グローバル金利レートの環境であると言えます。もし、FRB(連邦準備制度)がアジア通貨危機の際と同様に金利を積極的に上昇させた場合は、資金の潤沢な国・マーケットでさえピンチと感じるかもしれません。

しかし、いかに利上げを議論しても、FRBが積極的な金融引き締めサイクルに動くとは考えられません。日銀やECB(欧州中央銀行)は緩和を継続しており、新興国アジア市場におけるリファイナンスコストは、引き続き管理可能な水準で推移すると思われます。

⑥ フィードバック・ループ(負の連鎖)。現在と1990年代との決定的な違いは、当時は米国経済が世界市場を席巻していたことです。今日では新興国市場、特に中国が世界市場の約50%を占めており、この地域の減速は過去に比べてはるかに先進国市場に影響を与えます。上記のように、グローバルな成長減速時の対応に、FRBや各国の中央銀行が過去と比べて早期に利上げを行う可能性は低くなりました。

⑦ アジア地域成長への課題。最後に、ベトナムを含めたアジアの成長に課題はあるものの、金融ストレス度合が低い点は安心材料と言えます。ただ、穏やかな低成長下ではデフレ圧力がかかるため、今後も資産市場のボラティリティーは懸念すべきであり、混乱は未だ継続しています。同時にアジア通貨危機の再燃がなければ、新しい事業機会は自然と浮上してくるはずです。まずは現在の事態が沈静化する必要があります。

ページの先頭へ