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NNAベトナムが行く! ベトナムの「ホント」のところ

進む銀行再編 残るは不良債権の最終処理
vol.7


ベトナム共産党は1月末、2020年までの最高指導部となる政治局19人を発表した。党人事での一つの注目点は、ベトナム国家銀行(中央銀行)のグエン・バン・ビン総裁が選任された点だ。総裁の銀行再編や不良債権への取り組みが評価されたとみられる。中銀の指導の下で金融セクターは一定の改革が進んだが、今後は不良債権の最終処理や外資の誘致による効率化が課題となる。

昨年こそ物価上昇率は0.6%にとどまったものの、2011年は18%を超えており、物価上昇は市民生活に深刻な影響を与えていた。中銀はこの年、政策金利を一気に引き上げ、インフレ退治を断行。金融システムの貸出残高の伸び率は翌年、9%に落ち込んだ。ただ利上げの代償として景気が冷え込み、不良債権問題が表面化した。不良債権比率は2012年9月には17%を超えたとされる。単純比較はできないが、日本で問題が深刻化した2002年でも同比率は8%余りだった。

昨年だけで9行を整理統合

ホーチミン市中心部に昨年オープンしたベトコムバンクタワー

ホーチミン市中心部に昨年オープンしたベトコムバンクタワー

不良債権を生む金融セクター効率化のため、中銀は多すぎる銀行の再編に取り組んだ。商業銀行は2013年末時点で国営5行・民間33行、外資との合弁や外国銀行が9行あった。中銀は2012年頃から再編計画などをまとめ、昨年だけで一気に6件9行の国有化や合併を決めた。国内の銀行はさらに15~17行にまで統合される方針とも言われている。

不良債権の処理に向けては2013年に国家債権買取会社(VAMC)を設立した。金融機関から計200兆VND(約90億USD)以上の不良債権を買い取った結果、不良債権比率は昨年末には2.7%にまで改善した。問題の行方に内外から強い懸念があったものの、5年かけての実績に「ビン総裁は先の先を見ていた」との評価も上がる。今夏の国会で総裁は副首相に昇格するとの観測も出ている。

ASEAN内の競争激化も

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ただ、先行きは明るいばかりではない。昨年末のASEAN経済共同体(AEC)発足により域内での金融機関による競争が激化するとみられるからだ。昨年はタイのカシコン銀行が駐在員事務所を開設し、マレーシアのパブリック・バンク(PBB)が100%外資となったほか、シンガポールのUOB銀行も現地法人設立に動いている。
 
タイなどの大手行は、ベトナムの銀行上位と比較して規模は2倍とされる。生き残りに向けて外資を地場行に呼び込んで効率化したいところだが、法令上は外資の合計出資比率の上限は原則30%にとどまる。
 
不良債権の最終処理に向けた制度整備も欠かせない。昨年9月末時点で、VAMCが買い取った不良債権のうち処理が済んだのは全体の8%以下にとどまる。昨年の国会では資産競売法案を審議しているが、最終処理には不動産債権の流動化を促す法整備が必要となる。

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