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TOP LEADERの戦略

ローカル企業向け事業が拡大
今年からソリューションも Vol.30
Fujitsu Vietnam Limited


進出日系企業のサポートが主業務だった富士通ベトナムだが、現在は高度な顧客ニーズに対応し、ローカル企業向けビジネスも拡大させている。同社とベトナムのこの数年の変化を、工藤社長が語る。

売上急増の理由とは

代表取締役社長 工藤 成

―― 御社にはいくつかの事業がありますね?

工藤 はい。主な事業は3つあり、まず日系企業向けのハードウェア、ソフトウェア、ソリューションサービスの提供、次が約40社の現地パートナー企業を介したローカル企業向けのハードウェア販売、最後は富士通グループ向けのオフショア開発です。

―― 最初の2事業について教えてください。

工藤 日系企業向けの事業は、コンスタントに年10%程度伸びています。以前は主に中堅企業の工場にITインフラやネットワーク、生産管理システムなどを提供していましたが、現在はこうしたお客様は減り、一方で大手企業は生産投資が一段落して、次のステップへと移っている段階です。

それを受けてこの1~2年は、歩留まりの向上や物流の効率化など、高度なニーズが増えています。エースコック様との共同物流システムなどがその例です。

お客様の業種は以前は製造業が多かったのですが、次第にサービス業が増え、昨年からは小売業も加わりました。ホーチミン高島屋様のITインフラやPOSシステムなども構築しています。

―― ローカル企業へのハードウェアとは何ですか?

工藤 サーバー、ストレージ、パソコン、スキャナー、プリンターなどで、この分野が最も成長しています。赴任当時は日系企業向け事業が売上の9割で、ローカル企業向けはないに等しかったのですが、現在では半々の割合となりました。

売れ筋はサーバーやストレージでミッドレンジからハイエンドが中心。スキャナーはローエンドからハイエンドまで競争力があり、ローエンド商品も売れています。スキャナーではHPのシェアが高くて40%ほどあり、弊社のシェアは当初4%程度でしたが、現在は25%まで伸びています。

お客様はハノイでは政府機関系、ホーチミン市では銀行などの民間企業が多いですね。

昨年10月の「Fujitsu Asia Conference 2016」

―― どのようにしてローカル事業を拡大したのですか?

工藤 元々の営業組織は1つで、日系もローカル企業も日本人スタッフが担当していました。しかし、日本人は外国人です。営業組織を2つに分けてローカル企業専用組織を作り、優秀な人材をヘッドハンティングで補強しました。また、ベトナムの事情を知るベトナム人に権限を与えて、動いてもらいました。

一方で、セミナー、ワークショップ、新製品発表会など、パートナー企業やローカル企業を呼べる小規模なイベントを頻繁に開催しました。大規模な拡販イベントは年に1~2回開きますが、これらはホテルのバンケットルームを借りるようなタイプで、月2回のペースで開催しています。

ベトナムではIT系の専門雑誌なども見かけず、政府系や民間企業のIT担当者への広告宣伝は期待できません。製品などに直接触れてもらう機会を増やすほうが効果的だと感じましたし、実際にそうなりました。

成長するベトナムIT業界

―― 今後も期待できる分野ですね。

工藤 パートナー企業を通じてシェアを取っていきたいです。サーバーとストレージではDELLやHP、Lenovoが圧倒的に強く、今年はまず1割まで持っていきたい。スキャナーのシェアは25%程度なので、今年は30%に乗せたいです。

今年からは、ローカル企業向けのソリューションビジネスを始める予定です。ただ、製造業は本格的なITを導入できるほど育っていないので、病院などの医療機関を考えています。電子カルテなど医療情報システムで富士通は日本のリーディングカンパニーなので、ベトナムでも展開できると思いますし、ハードウェアだけでなくソリューションを加えた立体的なビジネスに育てたい。日本のスキルとノウハウをベトナム仕様にすることがまず大切です。

―― ベトナムのIT業界をどう見ますか?

工藤 ITの歴史そのものが浅いので、プログラマなど現場のITエンジニアは育っていますが、設計などの上流工程ができる人がまだまだ少なく、プロジェクト全体を管理するプロジェクトマネジャーは圧倒的に足りません。全体的にエンジニアの実務経験が不足しているためでしょう。

そのためか、ローカルのIT企業はソフトやシステムの開発、特に大規模案件が不得意なようです。大型のシステム開発ほどエンジニアの経験がものを言い、お客様に提案しながら一緒に仕事を進めることが何より重要になりますから。

ただ、今後は経験を積んだ優秀なベトナム人エンジニアが増えるでしょうし、IT市場はGDPと同じくらいの6~7%で成長しています。政府系や民間企業を含めたニーズも強い。我々の貢献できることが数多くあると思います。

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