ビジネス

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TOP LEADERの戦略

日・中・越の3拠点体制に
今年から国内市場も狙う Vol.32
TIGER VIETNAM CO., LTD.


2011に設立されたタイガー魔法瓶の子会社、タイガーベトナム。日本輸出の生産拠点だが、昨年に開発部、今年は営業部とサービス部と社内体制を整え、国内販売へも舵を切る。初代社長の大橋氏が語る。

輸出拠点から国内へ

代表取締役社長 大橋伸康

―― 進出先としてベトナムを選ばれた理由は何でしょうか?

大橋 一つはベトナム人の魅力です。タイガー魔法瓶は2008年から、ベトナム人の技能実習生を毎年15人ほど受け入れていまして、社内でとても評判が良かったのです。実習期間は3年なので、第1期生が母国に帰るタイミングでの設立を考えました。
 もう一つは日本と将来のASEAN諸国への輸出拠点として、ホーチミン市が地理的なハブとなると思われたからです。加えて言えば、上海にも生産工場があるのですが、中国だけに頼るリスクを避ける目的もありました。

―― 何を生産していますか?

大橋 主力商品であるIH式炊飯ジャーと電気ケトルです。以前はマイコン式炊飯ジャーも生産していましたが、代理店を通した物流の流れを確認することが目的でしたので、現在生産は終了しています。部品としては、ステンレス製の電気ポットの内容器を生産しています。中国の組立工場に送って、現地で組み立てています。およその月産台数は、炊飯ジャーが5000~6000、電気ケトルが1万、内容器が2万5000です。

―― 輸出向けが多いのですか?

大橋 現在はほとんどが日本本社向けです。ただ、こちらも主力商品であるステンレスボトル(水筒)を今年から生産予定でして、輸出用として軌道に乗ったら、国内向けに本格販売するつもりです。電気を使わないので売りやすいと考えています。
 第2弾には電気ケトルを予定しています。日本向けの100Vを220Vに変える必要がありますが、こうした仕様変更をするための開発部を昨年立ち上げました。国内販売の次にはASEAN諸国へ輸出したいですね。

電気ケトル(左)とIH炊飯ジャー

―― 開発部のエンジニアはベトナム人ですか?

大橋 はい。今年はそのうちの2人を本社に送り、3年の予定で研修を受けさせています。また、今年1月からは大学生の新卒採用を始めました。開発や生産技術で採用しまして、エンジニアとして一から育てるつもりです。

例えば弊社の開発部門は、設計だけでなく材料を扱ったり、損益の計算をしたり、新製品の立上げ業務も行うマルチな仕事をします。しかし、ベトナムでは設計だけに専念する人が多いようで、新製品の立上げを頼むと辞めてしまったりするんです(笑)。ならば、最初からマルチに育てたほうがいい。本社研修と新卒採用の2本柱で社員教育を進めています。

工場増設で3拠点に

―― 現在は代理店を通して販売しているのですね?

大橋 そうなのですが、今年4月からは営業部とサービス部を作ります。営業は大手スーパーなどと直接やり取りするためのもので、サービス部は修理などのアフターサービスを担当します。現在は量販店経由で代理店が修理などをしていますが、消費者に安心してもらえるように自社の専門部隊を設置します。

―― 国内で売りたい商品とは何でしょう?

大橋 やはり炊飯ジャーですね。既にベトナム人向けの調理ソフトを入れたプログラムに変えてあります。単機能で低価格な炊飯器がまだ多い中で、高価なIH炊飯ジャーは簡単に受け入れられないでしょうが、贅沢品に手が届くレベルに所得に上がっている中で、ニーズは確実にあると思います。単機能製品からマイコン式、IH式と炊飯器が変わってきたのは日本も同じなのです。

―― ただ、ベトナム人もお米にはうるさそうです。

大橋 弊社の工場の昼食はケータリングですが、ご飯はタイガー魔法瓶の業務用炊飯ジャーを仕入れて、業者に炊いてもらっています。最初は米のとぎ方が上手くなかったのですが、こちらがきちんと教えたら、従業員が美味しいと言ってくれるようなりました。いわばモニターになっているわけですが(笑)、評判は上々です。

一度美味しいお米の味を覚えたら、後戻りはできないものです。本格的な販売となったら、大型スーパーや量販店の店頭で試食イベントをしようと思っています。炊飯ジャーは月産1万~2万台を目指します。

また、商社のライセンスを取得しましたので、本社からの輸入品販売も考えています。炊飯ジャーでもベトナムで生産していない商品がありますし、ホットプレートなど他の商品も揃えられそうです。

―― 工場は今後、増産体制にするのですか?

大橋 そうです。例えば、ステンレスボトルは年間で今年100万本を目指し、来年には200万本用の生産設備を入れる予定です。

将来的には炊飯ジャー、ステンレスボトル、電気ケトル・ポットでそれぞれ3分の1ずつのラインを取りたいと思っています。そして、日本と中国の工場と同じ商品をベトナムで作れるようにして、世界3拠点の生産体制にするのが目標です。

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