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HSBCが見たベトナムの経済

HSBCグローバル・コネクション ベトナムの貿易見通し


ベトナムは労働力が安価でアジアの中央に位置することなどから、繊維・衣料品の製造拠点として、グローバル・マーケットでの確固たる地歩を築いています。またICT(情報通信技術)機器の貿易も輸出セクターにおいて第2位となっています。HSBCはこの2つの産業が牽引役となり、2014年から2020年の間に輸出が11%増加するものと予測しています。

繊維・衣料品

 

ベトナムの労働力は中国に比べるといまだ安価です。教育水準は向上し、技術インフラも整備されてきました。これらを背景に衣料品などの、低コストの製造セクターが発展してきました。
ベトナムの衣料品の主な輸出先は、2013年に約6%が中国向けで、12%が日本を除くアジア向けでした。新興中間所得者層の拡大により、今後も需要が増大すると考えられる中国向けの輸出は、2020年までに2倍に膨らむものと予測されます。
一方、米国向けの繊維・衣料品の輸出は2013年の約50%から、2020年までには40%程度まで低下すると推測されます。また、まだ小規模ではありますが、ベトナムの衣料品の中東向けの輸出は急速に伸びています。

その後、不動産バブルの崩壊を受け、ベトナム政府は2011年に経営不振企業への救済融資の引締めを決めました。その結果、この急激な政策変更は広範かつ根深く国有企業を覆い尽くす非効率性を暴露し、信用引き締めによる大量の不良債権の発生が、ベトナム経済後退の原因であると明らかになりました。
貸出残高成長率と名目GDP成長率とは、9ヶ月ほどの時間差をもって相関関係があります。したがって、ベトナム政府が信用依存型の経済モデルを変えることによる、一時的な経済の低迷も当然避けられません。基本的にベトナムは現在、1990年代から蓄積されてきた債務の重荷から解放されつつある段階であり、HSBCではこのプロセスが2016年まで続くと予測しています。

 

短期的見通し

 

調査の回答者の約半数が今後6ヶ月、貿易量の増加を予測していますが、回答者の1/3は主要輸出先の需要の高さをその主な理由に挙げています。
ベトナムの通貨ドンは貿易収支の黒字化により2012年以降安定していますが、輸入品に対する需要が高いことなどから、今後黒字幅は縮小するものと予測されます。このため22%の回答者は、為替動向に懸念を示しています。
ベトナムが世界で最も貿易が活発なアジアの中央に位置していることから、調査回答者の3/4は、主要な貿易パートナーは今後もアジアであると予測しています。近年の数々の貿易協定も追い風となっており、回答者の約3/4はこれらの協定が国際ビジネスに好ましい影響を与えると考えています。
ベトナムの貿易見通しは今後も期待が持てるものと思われます。第1に、アジアの中央に位置しているという地理的優位性。第2に、マクロ経済が改善して2014年のインフレ率は5%を下回り、経常黒字で通貨も安定していること。そして第3に、数々の貿易協定が近年アジア域内の貿易を増大させたことなどが挙げられます。
また、ベトナムは過去10年間、ビジネス環境を大幅に改善してきましたが、このような努力を今後も継続することが重要と言えます。

 

長期的見通し

 

新興アジアの貿易フローは今後も改善が続くものと思われますが、低迷する中国の輸入が上向くまでは、アジア域内の貿易の回復に弾みをつけるために努力が必要です。
HSBCではベトナム経済は今後も力強い成長を遂げるものと予測していますが、このためには特にインフラに関する急速な投資支出の拡大を支える必要があります。産業機械は輸入に占めるシェアが最大のセクターですが、この傾向は2030年まで続くと予測され、このセクターがベトナムの輸入の成長の約1/3を占めています。急拡大するベトナムの輸入相手国はその地理的近接性から中国、インド、韓国、マレーシアとなることが考えられます。

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