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TOP LEADERの戦略

外資系企業にメトロ1号線
ベトナムで進める新展開 Vol.35
SHIMIZU VIETNAM CO., LTD.


ホーチミン市1区のSUNWAH TOWERや、ホーチミン市都市鉄道(メトロ)1号線の建設で知られる清水建設。2年前に現法化したシミズベトナムは、外資系企業の工場建設等も請け負うなど、事業の幅を広げている。

メトロ1号線、本格稼働

General Director 代表取締役社長 清水靖裕

―― 日系ゼネコンの事業は建築と土木に分かれますね。

清水 清水建設は建築と土木の両方を扱っています。建設では、古くは1995年に完成したホーチミン市グエンフェ通りのSUNWAH TOWER。2000年頃からは日系製造業の工場建設が主力となり、ここ数年は外資系企業やベトナム企業の案件も請け負っています。ドイツの医療機器メーカーや香港の縫製メーカーなどの工場、ベトナム企業の物流センターなどです。また、土木ではハロン湾に掛かるパイチャイ橋等、多くの実績があります。

―― 日系と外資系で案件の差はどのくらいですか?

清水 やはり日系企業のほうが多いです。標準的な規模の工場であれば、打合せ、設計、書類申請、着工、施工、完成までに1年弱くらいでしょうか。建築の案件は大小を含めて常時5~6件が動いています。

SUNWAH TOWERは完成から20年以上が経ちますが、現在でも日系を初め多くの企業が入居し、建物の価値が下がっていないと考えます。今さらながら、こうした実績が良い評価を生んでいるようです。

―― メトロ1号線ではパッケージ1Bを工事中です

清水 前田建設工業さんとのジョイントオペレーションです。オペラハウス駅からバーソン駅の間の地下部分を請け負っていまして、トンネルの長さは781mです。今年6月には、バーソン駅の建設現場でトンネル掘削機が稼働を始めました。現在は前田建設工業さんのスタッフと合わせて、約150人が作業しています。

―― 難しいことも多いと思います。

清水 何て言うんでしょう(笑)。例えばオペラハウス駅では、カラベルホテルとオペラハウスの間の細い道の下にトンネルを掘っていますが、幅がないので地下2階と4階の上下に2本のトンネルを通しています。技術的には問題ないのですが、歴史的建造物であるオペラハウスに影響が出ないようにするため、挙動解析と計測管理で慎重に作業しています。

また、バーソン駅はサイゴン川に面した造船所跡地に作ります。そのため、一部を二重のシートパイルで締め切って川の水の流入を防ぎ、地中に連続壁を構築して工事します。すると、河川の水の満ち引きも考慮しなければなりません。

このように困難は付き物ですが、清水建設の掘削技術は世界各国で多くの実績があり、インドネシア初の地下鉄もジャカルタで建設中です。ベトナムでの2つの駅は2019年の完成を目指しています。

5月にバーソン駅の建設現場で行われた式典

「お抱え大工」の精神

―― ベトナムには多くの日系ゼネコンが進出しています。

清水 そうですね。日系企業以外にも、日本人エンジニアが窓口となっているローカルゼネコンなども含めると、日本人が関わるゼネコンはもっと多くなるでしょう。それは、ゼネコンにとってベトナムが魅力的な市場だからだと思います。

―― それはなぜでしょう?

清水 新興国であり、不動産やインフラの市場が拡大中であること。ただそれ以外にも、現地法人の設立なしに、プロジェクト単位で仕事ができることも大きいでしょう。例えば、これが中国であれば現地法人が義務化されているので、資本金などの初期投資が必要になります。その意味では、ベトナムはハードルが低いのです。

弊社も2年前に現法化しました。案件が多くなってきたので、プロジェクト単位ではなく企業として動きたいと考えたからです。最近では現法化する日系ゼネコンさんも増えています。

―― 清水建設の強みは何ですか?

清水 特に設計施工へのこだわりです。弊社の場合なら、本社の設計部の人間が来越して設計に当たりますし、仕事量によってはベトナムに常駐することもあります。

―― ローカルのゼネコンをどう見ますか?

清水 実はベトナム企業のゼネコンは多く、最近では超高層ビルを建築するなどレベルが上がってきています。ただ、清水建設は1804年に大工の、初代清水喜助が創業しました。そのために建築案件のほうが多く、近年は特に「お抱え大工」の精神に立ち戻ろうとしています。

外資系企業がベトナムでの建設を弊社に依頼するのは、その日本の良さを評価しているからだろうと思いますし、何よりお客様のために品質と納期を守ること、総合的なコーディネーション能力には自信があります。

―― これからベトナムでやってみたいことはありますか?

清水 う~ん、超高層に挑戦したいですね(笑)。

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