ビジネス

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TOP LEADERの戦略

即席麺でシェア1位を開拓
アイデア社長は止まらない Vol.37
ACECOOK VIETNAM J. S. C.


1995年に即席麺の販売を開始して20年以上。年間消費量で世界4位、1人当たりの年間消費量は2位という即席麺大国のベトナムで、圧倒的なシェアを誇るエースコックベトナム。牽引してきた梶原潤一社長が過去、現在、未来を語る。

安全性を多方面にPR カップ麺の売上好調

General Director 代表取締役社長 梶原潤一

―― ベトナムの即席麺市場を教えてください。

梶原 弊社が販売を始めた1995年から2010年までは大きく伸び、我々も設備投資を続けて旺盛な需要増に応えました。その後2011年頃から鈍化して2014年までは前年と同じか多少下降。2015年からは前年比を少し上回る形で持ち直しています。

「Handy Hao Hao」(左)と「Topping PHO」

消費量が落ちた原因は、コンビニやファストフードなどが増えて食の選択肢が広がったことと、10年程前から即席麺は体に良くないといったネガティブな情報が出回ったためだと思います。そこで弊社は2年前から専門チームを立ち上げて、即席麺についての正確な情報と安全性を広く伝えています。

―― どのようなことをしていますか?

梶原 テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどを通じて即席麺の正確な情報をお伝えしたり、医師、食品衛生局、研究者などに工場に来てもらい、原料や生産工程を紹介するなどです。徐々に効果が表れていると感じており、現在では週に2回、北、中、南の工場見学を実施しています。

大学生、高校生、主婦などに工場内を案内すると、皆さんは「これでもう安心です」、「子どもに食べさせられます」などと言っていただいています。参加者は累計で1万人を超えました。

―― 新商品開発はいかがですか?

梶原 創業以来、「日本の技術とベトナムの風味」を基本方針に掲げてきました。品質と技術は日本式で、メニューや味付けなどの商品開発はベトナム人に任せてきたのですが、2012年発売の「UdonSukiSuki」からは日本の味を紹介しています。

当初の主な購入者は日本人でしたが、現在では販売店も広がり、多くのスーパーやコンビニでの売行き上位にランクインされています。ベトナムの皆さんが購入しているのだと思いますし、昨年は日本で20年以上前に発売したカップ麺の「わかめラーメン」も売り出しました。

―― カップ麺市場が上向きのようですね。

梶原 その通りです。弊社でも昨年は、対前年比で売上が170%以上にアップしました。昨年は即席麺のヒット商品である「Hao Hao」のカップ麺「Handy Hao Hao」を発売し、「MODERN」と共にカップ麺市場の約6割になったと思います。発売10年目の「MODERN」は長期間を掛けてシェア4割を獲得し、「Handy Hao Hao」は大きな話題となってシェアを一気に2割へと伸ばしました。

輸出拡大、物流改革…やりたいことはまだまだ

―― 輸出についてはいかがですか?

梶原 現在46ヶ国に輸出していて、売上の1割弱を占めています。ベトナムでは人口の伸び+αの市場推移を考えていますが、毎年2桁成長の時代はもう来ないでしょう。そこで輸出を増やして、世界中に即席麺を広げたいのです。

以前は各国のベトナム人を中心としたアジア層がターゲットでしたが、現在は現地の人に届ける商品開発をしています。商品数は多くなり、手間は必要ですが、無限の可能性を感じます。

例えば、昨年フランスで発売したフォーのカップ麺「PHO」は非常に売行きが良く、7月からベトナムで「Topping PHO」として発売しました。日本には米の麺だけを輸出し、フォーの袋麺とカップ麺を日本のエースコックが、日本人向けにアレンジしたスープなどをセットして販売して好評です。

ヨーロッパに加えてアメリカも期待できると感じますし、1人当たりの消費量で1位の韓国では、ベトナム人が多く住むためかフォーの引き合いが多いです。

―― 物流システムを導入されたとか。

梶原 富士通さんと共同で、今春から試験的にホーチミン市で導入しています。弊社では毎日何百台という配車が動いていますが、いつ、どこに、どんなルートで、どのくらい運ぶかは人の経験とカンだけが頼りでした。それをシステムで効率化し、今は運用結果を検証中です。上手くいけば全国に広げるつもりです。

将来的には他社に共同配送を持ち掛けたいですね。即席麺は嵩があるが軽い。そこで小さいが重量のある飲料や菓子などと組み合わせて、小売店、代理店、ショッピングセンターなどに運ぶわけです。小売店は一度に運ぶ量が少ないので共同配送が経済的ですし、今は各メーカーが自社のトラックを使っているので、荷受けの効率も上がります。交通渋滞の解消にも協力できるでしょう。

実は他にもたくさんやりたいことがあるのです。米麺のブン、フォー、フーティウ、加えてテト前にはいくら作っても足りなくなる春雨にも注力したいですし、即席麺以外の事業も考えています。特に「Hao Hao」の高い認知度を使って、自社単独か他社さんと協力して何かを始めたいと思っています。

※即席麺消費量のデータは世界ラーメン協会(2016年)による。

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