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TOP LEADERの戦略

海運大手3社が事業統合
新しいカルチャーを作る Vol. 41
Ocean Network Express (Vietnam) Co., Ltd.


日本郵船、商船三井、川崎汽船のコンテナ船事業を統合し、2018年4月に営業を開始するOcean Network Express。2017年4月に着任したばかりのベトナム法人、Ocean Network Express (Vietnam)の森澤氏がその背景と今後を語る。

M&Aが続くコンテナ事業 世界で第6位の規模に

General Director 代表取締役社長 森澤洋一郎

―― 現在の海運業界について聞かせてください。

森澤 貨物船には大きく分けて、自動車を運ぶ自動車輸送船、石炭や穀物を運ぶバルカー(ばら積み船)、石油を運ぶ石油タンカー、コンテナ船があります。この中でコンテナ船は海上コンテナに一般貨物を詰めて運ぶ輸送船で、世界的に海上貨物輸送の主流となっています。

他の船種は企業1社と契約することが多く、荷主の要望に合わせて航路やスケジュールを決める不定期船なのですが、コンテナ船は複数の荷主が共同で利用する定期船で、運ぶ航路や日程が決まっています。

日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社は幅広い船種で海運事業を行っていますが、コンテナ事業だけを統合した新会社がOcean Network Express(ONE)になります。コンテナ業界では世界中でM&Aが進んでいまして、スケール(輸送容量)を求める動きが活発化しています。デンマーク、スイス、フランスなどヨーロッパの企業が大手で、船隊規模での上位企業はほとんどが欧州勢です。

―― 船隊規模とは何でしょう?

森澤 貨物の積載容量でして、20フィートコンテナ1個相当を「1TEU」という単位で表します。コンテナは20フィートと40フィートが良く使われますが、40フィートコンテナなら2TEUになります。私が入社したころの大型船は4500TEUクラスで、20フィートコンテナが4500個積める貨物船でした。それが現在では2万TEUという巨大な船もあります。

ONEは3社を合わせてこの2万TEU型船を筆頭に、超⼤型のコンテナ船31隻を含む総数約240隻の船隊で運航する予定です。合計したTEUは144万となって世界6位の規模、シェアは6.9%と計算しています。ちなみに業界トップのマースクラインという会社は335万TEU、シェア16%です。

―― 日本企業はどう世界展開を進めたのですか?

森澤 日本の海運会社の海外拠点は、1990年代初めまで現地の代理店が多かったのですが、次第に現地法人化を進めました。ベトナムでは規制緩和が遅く、2006年頃に各社が現地法人を設立しました。本格進出のためにまずコンテナ事業をスタートさせ、規模を大きくして、他の船種ビジネスにも進出するようになりました。

―― 統合の最中なのですね。

森澤 はい。2017年4月から世界的に統合のプロジェクトをスタートさせ、私も昨年の4月にNYK Line (Vietnam)に出向しました。ONEの事業運営会社はシンガポールにあり、香港(東アジア)、シンガポール(南アジア)、イギリス(ヨーロッパ)、アメリカ(北米)、ブラジル(南米)が地域統括拠点になります。これ以外にも世界中に3社の拠点があるので、各地の現地法人を統合させる必要があり、それを私はベトナムで行っています。

ONEの事業は世界中で2018年2月1日からコンテナのブッキングを開始し、4月1日から事業を開始する予定です。

いいとこ取りの「ベスト」を ベトナムでは4拠点

Ocean Network Expressのコンテナ

―― 統合のメリットは何ですか。

森澤 3社3様の航路、技術力、システム、サービス等の強みがあります。これらを統合すると世界中に巨大な航路のネットワークが拡大しますし、コストダウンも可能です。お客様が船会社を選ぶのは、その会社の船隊規模だけではありません。荷物を運ぶ最適な航路を持っていることと価格、加えて痒い所に手が届くようなサービスです。

3社にはそれぞれに独自の経験やノウハウがあります。それをONE(一つ)にして、ONEの新しいカルチャーを作るのが最大の任務だと持っています。

そのためONEでは、「私は3社のうちどこの出身だ」や「前の職場ではこのやり方だった」といった発言はご法度です。現在の統合プロジェクト中もそうですし、事業が始まってからも同じです。各社には培ってきた業務の進め方があり、それぞれそれが「ベスト」なのです。それらのナレッジやインテリジェンスのいいとこ取りをして、ベストプラクティスを最大限に活用しようとしています。

弊社のスタッフは現在(取材時)、3社から8人の精鋭たちが集まっています。皆考えているのは「ONE」のことばかりで、とても前向きに新会社を創ろうとしています。私は勝手に彼らを「アベンジャーズ」と呼んでいるんです(笑)。

―― ベトナムはどこが拠点ですか?

森澤 コンテナ船の港は、南部はホーチミン市のカットライ港、バリア・ブンタウ省のカイメップ港、北部はハイフォン港、中部はダナン港になります。現在の拠点はホーチミン市の本社だけですが、4月1日までにハノイ支社とハイフォン支社、ダナンオフィスを作り、社員数は合計で200人強にする予定です。もうすぐ「出港」です。

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