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HSBCが見たベトナムの経済

ベトナム2015年 第一四半期の見通し


バランスシートの改善

 
2013年9月以降、ベトナムのHSBC製造業PMIは新規輸出受注の伸長により確実に改善し、昨年11月の調査では、同10月の51.0から52.1に増加しました。現在はグローバルでの需要の減少という状況にありますが、2007年から輸出のグローバルにおけるシェアはまだ非常に小さなものではあるものの0.4%上昇し、2013年には0.7%になりました。その主な要因は、とりわけ中国の賃金上昇との対象をなす、賃金の安さによる競争力によるものです。私たちは2015年も輸出は引き続き堅調であると予測しています。
グローバルでの需要が減少しているにもかかわらず、FDIの順調な増加により、輸出は伸びていくと予測しています。国内需要は2011年の急減速以来、現在でも弱いものの、少しずつ回復傾向にあります。原油価格の下落が直接・間接的にコストの低下を招き、消費者の購買意欲を押し上げていきます。また、国民所得の増加による国内需要の改善も見込むことができます。私たちは、個人消費は2014年の5.4%から今年は5.6%に増加するものと予測しています。
ベトナムは石油の純輸入国であり、原油価格の下落は貿易収支を押し上げ、非原油関連の貿易についても投入価格低下の恩恵を受ける製造・輸出業者により、一層の改善を見込むことができます。つまり、貿易及び個人消費の増加の原因となる原油価格の低下は、財政赤字の拡大を引き起こします。一方で、ベトナムの銀行はバランスシートの改善を目指しており、貸出についてはそれほど増えていません。
 

政治と政策

 
政府は引き続き構造改革を推進する必要があります。ベトナム・アセット・マネジメント・カンパニー(VAMC)が銀行の不良債権を選定し、買取りを行っていますが、破綻した銀行処理のための法的整備については、まだ進展が見られません。経済活性化のための新たな法律、例えば外資規制の緩和などについてもまだ時間がかかりそうですし、国営企業の民営化を進めるための指示も出ていない状況です。
一方、政府の貿易自由化に向けた取り組みについては期待が持てます。TPPやEFTAなどの主要項目について、サービス業や投資分野の協議が続けられています。主要なインフラプロジェクトについては、大都市における鉄道システムの整備や、国内の高速道路の整備などが始まろうとしています。また、2016年に政権の交代が予定されており、それに向けた政治的な動きがあるかもしれませんが、ビジネスに対する影響はそれほどないと考えています。
 

リスク

 
ベトナムの石油収入の低下が、財務内容を悪化させる可能性があります。2012年、石油はベトナムの歳入の19%を占めていましたが、今後石油からの収入は減少し、財務内容を悪化させると予測されます。ただ、財務省は原油価格について保守的な見方をしているため、現実の予測と原油価格の低下の影響による現実のずれは少ないものと考えられます。ベトナムは360億USDの外貨準備を積み上げていますが、ベトナム中央銀行が市場に対して流動性を絞るなどタイムリーに対応しない場合、市場の流動性が非常に少なくなる恐れがあります。
また、別のリスクとしては銀行の不良債権処理の遅れがあります。政府は国営企業の民営化とコーポレートガバナンスの強化に焦点を当てていますが、進捗状況は芳しくありません。その鍵となる外資によるいくつかの分野への出資比率の上限を、49%から60%に引き上げる法律の制定も遅れています。VAMCによる不良債権の売却も遅れています。その一因として、破たん処理についてのベトナムの規制や、それによる改革に対する抵抗があります。

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