総力特集

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NISSAN TECHNO VIETNAM Co., Ltd.
Pasona Tech Vietnam Co., Ltd.
1年を掛けた大学生の研修 日系企業2社のエンジニア育成

日産自動車向け車両部品のCADデータ作成、設計・解析を行う日産テクノベトナムと、人材サービスのパソナテックが、ハノイ工業大学と産学連携で始めた「先進技術者育成プログラム」。1年を掛けたその内容と成果を追う。

ベトナムに開発拠点優秀な人材採用へ

NISSAN TECHNO VIETNAM Co., Ltd.
Administration Division
Director八尾健之氏(中)
NISSAN TECHNO VIETNAM Co., Ltd.
Interior/Exterior Design Department
General Manager川崎卓司氏(右)
Pasona Tech Vietnam Co., Ltd.
Global Recruiting Division
General Manager古谷誠一氏(左)

「先進技術者育成プログラム」とは、工学系の知識や3D CAD(工業製品などを3次元で設計できるソフトウェア)のスキル、日本語やビジネスマナーを、8~9ヶ月を掛けて大学生に教える産学連携プログラムだ。日産テクノベトナム、パソナテックベトナム、ハノイ工業大学でスタートさせた。

日産自動車のグループ企業であり、その自動車に使われる部品の設計や解析を行う日産テクノ。その100%子会社が2001年に進出した日産テクノベトナムだ。日産テクノは日産のグローバルな車両のCADデータ作成業務の約95%を請け負っているが、その70%は日産テクノベトナムの仕事。日産グループ内でも世界最大級の海外拠点となっている。

ただ、現在でも自動車市場が成長途上のベトナムに、なぜ生産工場ではなく開発拠点を設立したのか。

「人材コストを抑えられる点に加えて、ベトナムの学生たちの優秀さです。ベトナム人エンジニアのポテンシャルに期待しました。確かに弊社で働くベトナム人エンジニアでも、車を運転したことのない人がほとんどですので、車の知識という点では多くの課題がありました。そのため、進出当初は作業単位で仕事を切り分けて業務を行い、CADデータ作成、モデリング、解析、設計、実験と徐々に業務内容を拡大させました。現在では約1800人が働いています」(八尾氏)

同社がこのプログラムを発案したきっかけは、「優秀な人材をできるだけ早く採りたい」から。また、ハノイ工業大学とは、以前からその卒業生が数多く入社しているネットワークがあった。大学側としても技術者を育成して、就職先として人気の日系企業に送り出したいという希望があったようだ。

このプログラムのトライアルを2013年に実施し、手ごたえをつかんで2014年度から開始。ここでパソナテックベトナムが加わった。同社は2004年に進出。オフショアでのITアウトソーシングや、日本の自動車メーカーから部品設計などの業務を請け負うBPO事業の他、技術者以外の職種も含めた採用支援、教育研修事業を展開している。

この2社でプログラムを開発し、日産テクノベトナムが工学系講座や高性能CAD教育といった技術面の研修を、パソナテックベトナムがプログラムの運営、日本語とビジネスマナーの研修を中心に担当している。

研修とインターンシップ共同研究まで実施

1先進技術者育成プログラムに参加した大学生たち 2.3日本語・社会人マナー研修 4.5思考プロセス研修 6.7工学系知識講座

2014年7月に大学での説明会を行い、同時にプログラムの参加者を募集。説明会には約130人が集まり、後の審査と面談で52人の参加が決まった。

そして、6~7ヶ月を掛けての育成プログラムとインターンシップとなる。前者は自動車工学や機械工学などの工学系知識講座と、技術者として課題を解決するための思考プロセス研修。加えて、日本語の基礎教育やビジネスマナーを教える、日本語・社会人マナー研修がある。

「日産テクノベトナムは日本とのやり取りも多いので、日本語が社内公用語です。そこで日本語研修では、実際の社内での上司と部下の会話を模擬したテキストを作って、より実践的なものにしました」(川崎氏)

インターンシップは日産テクノベトナムで行われた。実際に社内で使う高性能CADのオペレーション教育を1ヶ月、業務実践トレーニングを3ヶ月。この4ヶ月を通して、参加者たちは自動車部品の3Dデータが作れるようになったという。

「大学で生産技術を学んだ人は多くても、設計という仕事をイメージできる人が少なかった。入社してからでないと本当の仕事の理解は難しいかもしれません」(川崎氏)

次が1~2ヶ月での共同研究と卒業論文。学んだ知識とスキルを活⽤し、与えられた課題に⼩チーム単位で共同研究を行い、各自がその成果を卒業論文としてまとめる。その後、採用試験と企業面接となる。

「トライアルでは途中で脱落する人もいて3割ほどが採用に至らなかったのですが、今回はプログラム参加者の52人全員が採用となりました。2社で各26人です。日産テクノベトナムさんは7月に入社して現在研修中、弊社は9月1日入社予定です」(古谷氏)

教えるだけ伸びる今期は別の大学も

先進技術者育成プログラムを終えた大学生たちへの評価は高い。「車に対する興味は非常に強いが、車の知識は思ったよりも乏しかった」などの弱点はあるものの、3人の意見は「吸収力が早く、教えれば教えるほど伸びる」。

「開始当初と比べて顔つきが変わり、身だしなみも整えるようになりました」(川崎氏)

「知識や実践を学ぶ場を提供すれば成長する、社会人としての立ち上がりが早いプログラムだと実感しました」(古谷氏)

2015年度のプログラムは既に説明会、選考を終えて、35人の参加者でスタートしている。研修の内容は前回の経験を参考に改善。今年度はハノイ工科大学でもトライアルを開始しており、同校で来年度からの本格導入を目指している。

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