総力特集

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ベトナム日本人材協力センター(VJCC/HCMC)
中間管理職と経営層「ガチ」で学ぶ日本式

日越両国の政府により設立された人材育成機関、ベトナム日本人材協力センター(VJCC)。国内に2ヶ所あり、2002年にハノイとホーチミン市に開設された。ここではホーチミン市の取組みを紹介する。

中間管理職が集中講義を3日間

Mr.Wakabayashi

JICA専門家
若林勇飛氏

VJCC/HCMCには「ビジネスコース」、「日本語コース」、「相互理解促進」の主に3つの事業があり、研修には短期(公開型ビジネスコース)と長期(経営塾)がある。

短期コースは1日6時間の3日間(場合によっては2日間)であり、9:00~16:30に行われる。受講者は20~40人程度。ハノイで3日間教えた後にホーチミン市で3日間、同じ内容を教えるのが基本となる。

内容は大きく生産管理と人事管理に分かれ、前者であれば「工場リーダーの能力開発」や「ものづくりロスZeroへのアプローチ」、後者なら「スタッフィングスキル開発」や「リーダーシップとコミュニケーション」などのコースになる。

受講者はほとんどがベトナム人で、30代の中間管理職が多く、20代や40~50代が入る場合もあるという。男女比は生産管理系で8:2、人事系で3:7ほどというから、女性の参加者も少なくない。

そのほかに、日本人の若手社員が受講することもあるという。

「会社からの指示で来る人もいますが、積極的に志願する人のほうが多いようです。費用はほとんどが会社負担。平日のかなりの時間を使うので、送り出す会社からは『夕方以降や週末にしてくれ』という要望もあります(笑)」

受講料は220万VNDで、金額はベトナム商工会議所等の公的機関に準じているそうだ。

また、日系民間企業への個別の講師派遣も行っており、今後は他の教育機関との連携を促進し、様々な企業や組織への派遣を考慮しているという。

研修で学んだ内容を仕事に広げるには、企業に戻った研修生が学んだことを社内にフィードバックすべきと若林氏は語る。

習得した知識を同僚にプレゼンしたり、実務に活かしていくと、業務改善などにつながっていく。そのためのカギは、送り出す管理者が期待感を伝え、学んだ内容をフィードバックする体制を用意することという。

長期の「経営塾」経営幹部が10ヶ月

「ビジネスコース」の研修風景(左) 「経営塾」の研修風景(右上) 日本研修での集合写真(右下)

一方、長期コースは「経営塾」と呼ばれる10ヶ月の長丁場だ。5日間の集中研修を毎月10回続けて、その後に2週間程度の日本研修がある。受講者は全てベトナム人で、30代後半の経営者や経営幹部、次期社長候補などが多いそうだ。出身は上場企業から中小企業まで様々で、業種は製造業が多い。男女比は6:4で、短期コースより女性の割合が目立つ。

「かなりの長期間ですから、受講者の覚悟が問われます。参加人数は20~25人で、短期コースは先着順ですが、経営塾には審査があります。費用は日本研修費を含めて計2500USDです」

VJCCはJICA(独立行政法人国際協力機構)のプロジェクトであり、産業界で活躍する人材の育成が目的。ベトナム政府の掲げる「2020年の工業国家」のために、日本の「モノづくり」を教えるという側面が大きいので、生産現場で役立つ内容が多い。

ただ、この1~2年でベトナム企業の人事部から、「おもてなし」を学びたいというリクエストが増えたという。特に短期コースや企業への個別出張講義では、こうした要望を元に研修の内容を毎年少しずつ変えており、2015年8月に今期が終わった現在は、それを練っている最中という。

知日派経営者の団体を作りたい

講師はほとんどがJICAの短期専門家で、メーカーなどで実務経験を積んだ人が退職後、講師としてのトレーニングを受けて赴任するという。現地の研修会社などに勤めるベトナム人や日本人に依頼することもあり、日本人講師には通訳が付く。

特に経営塾で講師に期待されているのは「実務で役立つ」で、理論に偏った内容は敬遠される傾向にあるそうだ。受講者からの質問も実務的なものが多いので、それに対応できる講師が人気となる。経営塾を卒業しても学位は得られないので、「経営に直結する」などの要望が多いという。

「経営塾の卒業生は『人を育てることが大切だとわかった』、『戦略の考え方が身に付いた』などと感想を語ります。ハノイとホーチミン市を合わせて今期までの6年間で165人が卒業しましたが、電話調査で100人以上から回答を得たところ、その全員が『経営塾は人にも勧めたい』と答えています」

今後はOB会を組織して、産業界に影響を与えるような知日派経営者の団体にしたいという。現在は同期のつながりが中心なので、縦の連携を加えて、日越ビジネスマッチングの入口になるべく動き出そうとしている。

「今後は地方への派遣や、VJCCのネットワークを使ったイベントなども増やしたいですね」

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