総力特集

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ベトナムに進出した製造業の大きな悩みは、現地調達率の低さだ。優秀なローカル企業は少なく、部品や部材を輸入に頼る日系企業も多い。ただ、現調率は少しずつ上昇しており、ローカル企業も成長中だ。今、ベトナムの裾野産業は変わりつつある。

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相手と信頼関係を築いて
サプライヤーを育てる

ベトナムの外資系メーカーで圧倒的な存在感を示すホンダベトナム。その現地調達率は二輪主要モデルの平均で約95%という驚きの値だが、そこには進出以来の歴史と契機があった。現地調達でも優良企業の同社が実際を語る。

コピー商品撃退のために

General Director 加藤 稔氏

1997年にベトナムで二輪車の生産を開始した当初、ホンダベトナムはホンダのタイ工場から多くの部品を輸入していた。本格的な現地調達に乗り出したきっかけは、中国製コピー商品との激戦。壊れやすいが圧倒的に安価なコピーバイクに勝つためには、高品質かつ低価格を実現する必要があった。そこで、タイの工場と研究所、日本本社、中国工場などが協力し、現地調達先の拡大に注力する。その結果、2002年に発売した「Wave α」が大ヒットし、コピーバイクを「駆逐」する。

「弊社の内作比率はエンジンを中心として約20%であり、お取引先からの部品の品質とコストが生命線です。エンジンやフレームはホンダの技術によるところが大きいですが、特に電装系やサスペンションなどの機能部品はお取引先の技術に頼っています」

現地調達先にはホンダの品質基準を求めており、品質のチェックは定期的に行っているという。こうした品質管理体制の他、安定的に継続して相当数の部品を納入してもらうこと、さらに具体的な施策を共有しながら、コストダウン展開を推進するなどが重要になるという。

Vietnam Auto Partsで生産している部品

1つの優れた製品を開発できても、同じものを10万個生産し、1年間作り続けられるとは限らない。この実現のためのプロセス管理にも参加し、現地調達先にはしっかりした変化点管理を望んでいる。何かの問題が起きたら、その原因や対象となる範囲を絞り込めるような仕組み作りだ。

「ホンダの基準に満たさなければ契約しない、ということではなく、お取引先と共に成長していくことが大切なのです。部品調達準備はモデルの開発段階からは一緒に始めますし、コストダウンは図面そのものを変えないと容易にできません。そこまでの信頼関係を築くということです」

現調率平均95%の内訳

Vietnam Auto Partsの工場内の様子

ホンダベトナムの部品の調達先は約130社あり、およそ50%が日系企業、25%が台湾系企業、19%がローカル企業、残りがその他の外資系企業という。これらの中には同社が誘って進出した企業もあれば、各社の判断で進出した企業もある。後者では、ベトナムの安価で質の高い労働力に魅力を感じて、タイや中国からシフトした部品メーカーも含まれる。国内だけでなく、ベトナムから全世界に向けて輸出をしている優良企業もある。

「現地調達先を徐々に広げて、ローカル企業と一緒に設立したお取引先もあります。例えば、ホンダグループと資本関係のあるVietnam Auto Partsではエンジンの鋳造や、10~14インチのアルミのキャストホイールを生産しています。心強いパートナーですね」

Vietnam Auto Partsの工場で働くスタッフ

そんな同社の現地調達率は、バイクの車種によって異なるものの平均して95%。ベトナム全体の現調率は33.2%なので、参入企業が多い二輪業界とはいえ驚異的な数字だ。

ただ、これは1次サプライヤーからの現調率であり、そのサプライヤーに収める2次、3次サプライヤーがベトナムから調達しているかについてはバラツキが大きいという。ベトナムでは特に原材料の調達を輸入に頼っているので、2次、3次サプライヤーまで含めた真の現調率は60%に満たないのが現実であり、さらなる努力を継続していく必要があると加藤社長は語る。

現在のベトナムにおいては現調率の定義が明確になっていない関係で、今まで他社との比較なども含めて数字は公表してないという。ホンダベトナムでは現調率を金額ベースにしており、1台分のコストの中で現地調達した費用(生産コスト含む)の割合で算出している。

「単純に比較できないのが実情で、政府と話すときにも基準が明確でないために数字は参考値としています。また、グローバル展開している企業は全世界で調達先を考えており、ホンダでも各国の部品別の生産負荷状況を考慮した、相互補完スキームをフレキシブルに活用しています。各国の経済動向や為替変化は予測が困難で、各企業の進出経緯も異なるので、かなり多面的に動いています」

二輪の楽しさを教えたいと始めたレース活動
「Honda Racing」の第3回

同社は今でも新規の調達先を探している。年間で10万個規模を発注するので、まずこれが前提となるという。二輪業界の中での情報共有や、パートナーであるVEAM(Vietnam Engine and Agricultural Machinery Corporation)のような企業からの紹介もあるが、ローカル企業の技術力が着実に上がっていることを感じているという。とはいえ、輸出となると状況は厳しく、さらなるコスト競争力アップに向けてベトナム政府と一緒に、部品メーカーが動きやすい環境作りを進めたいという。

「税制の優遇や、新規投資への支援などです。様々な方法でベトナムの裾野産業を育てないと、真の現調率は上がらないのではないでしょうか。現在の最大の二輪市場は中国を抜いたインドで、中国、インドネシアと続き、ベトナムは世界4位です。これほどのボリュームを支える裾野産業なのです」

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