総力特集

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「ベトナムの和食」が新たなフェイズに入った。 和食に馴染みつつあるベトナム人の内なるニーズ。それを汲み取った経営者は先を読んで展開する。 起こったのが「低価格化」と「高品質化」だ。日本人客は既に、傍流的な存在となっている。

 

 

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天然キノコ鍋「Ashima」、回転鍋「Kichi Kichi」、和食ビュッフェ「iSushi」、ビアクラブ「Vuvuzela」、最近では餃子の「Osaka Ohsho」を開店し、全19ブランドを運営するベトナム最大手の外食チェーン「Golden Gate Restaurant Group」。創業者兼CEOが取材に応じた。

 

160店全て自主運営

2005年の創業後、斬新な「天然キノコ鍋」でハノイに一大ブームを起こしたGolden Gate。店舗を増やす中で次に展開したのは「回転鍋」だった。回転寿司のように回る多くの具材の中から好きなものを選ぶスタイルが受けて、こちらもすぐにお客が殺到した。その後も日本、韓国、香港、西洋料理、ビアクラブなど独自性のある飲食店をオープンし、現在は日本料理店7つを含む全19ブランド、約160店舗もの外食チェーンへと成長している。

「当時のレストラン市場は今ほど大きくなく、Ashimaのように『健康』をコンセプトにした料理は珍しくて、すぐに人気になりました。最初の資本額は少なかったのですが、店が繁盛して半年でお金を回せるようになり、1年で3店舗を出せました」

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SumoBBQの焼肉

6Osaka Ohshoの ラーメン

創業1年後には投資ファンドのメコンキャピタルからアプローチ。2008年に正式に出資を受け、より大きなビジネスができるようになった。ただ、これだけの店舗数でもフランチャイズ展開はしていない。その理由は、信頼できるパートナーを見つけるのが難しいからだそうだ。
「フランチャイズではブランドの存在価値が何より大切ですが、条件を守らないパートナーもいます。ベトナムでフランチャイズは難しいですね。初期の頃は何度か試したものの、期待通りでなかったので、現在はすべて自社で運営しています」

ただ、海外企業のフランチャイズは受け入れており、現在は2社、シンガポールの「Crystal Jade」(中華)と今年3月に開店の「大阪王将」を持つ。ベトナム進出を希望する日本の飲食店からの問い合わせも多く、提携して出店したいという企業は現在5社ほど。視察に来る日本人も多いと言うが、こうした飲食店を選ぶ基準は、「有名なブランド」、「きちんとしたノウハウ」、「ユニークな商品」。
「ユニークであるとは、特別なもの、歴史あるもの、他にないレアなものなどで、海外企業との提携は拡大していきたいですね」

和食は激戦の時代に

同社には「Osaka Ohsho」の他、「SumoBBQ」(日本式焼肉&鍋)、「Kichi Kichi」(回転鍋)、「iSushi」(和食ビュッフェ)、「Daruma」(和食ファストフード)、「Kintaro Udon」(日本式うどん店)、「Itacho Ramen」(日本式ラーメン店)があり、和食も積極的に展開している。現在はそうでもないが、出店当初はベトナム人が刺身などの生ものに慣れておらず、集客が難しかったようだ。そんな和食で人気店を作るためには、まずは試してもらうことが大切であり、そのためにはリーズナブルな価格が欠かせないという。

実際、同社のレストランは比較的値段が手頃であり、多店舗展開による大量仕入れのメリットを生かしている。また、ハノイとホーチミン市に1つずつセントラルキッチンがあり、コールドチェーンも構築しているという。

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Ashimaの日本語のポスター

7Ashimaの店内

「和食のブームはこの3~4年のこと。まずは試してもらって、次に慣れてもらう。弊社の和食はトラディショナル・スタイルではないので、日本人には違和感があるかもしれません。それは、お客さんがトライしやすいように、味をベトナム人に合わせているからです」

同社には時代を先取りするような店舗が多いが、出店した後に市場調査はしても、新たなブランドを作る際は行わず、「カン」だけで料理や業態を決めるという。

「出店後の市場調査はしますが、その結果だけでなく、自分のカンとの半々でその後を判断します。新ブランドを作るときは100%、センスとカンだけ。ただ、アイデアを出すのは簡単です。難しいのは店をベトナムに馴染むようにすることと、運営を続けることです」

そのための要素は3つ。1つは「現地の市場の理解」。Mr. Vinhはハノイ出身なので同地の人の好みは理解していると語り、南部に展開する場合はその市場に詳しいスタッフの意見を聞く。こうしたローカルナレッジが集まったら、社内で討論する。

2つ目は「まずやってみる」。間違ったと思ったら修正すればよいので、トライ・アンド・エラーを繰り返していく。3つ目は「経験を積む」。創業10年の中には失敗もあったが、経験により徐々に減っているという。

「今後も和食は普及していくでしょうが、競争も激しくなりますね。ベトナム人に和食の知識が増え、舌も肥えてくるので、美味しいものとそうでないものの判断が厳しくなる。値段は抑えめで、かつハイクオリティな料理が求められるでしょう」

今年の目標は店舗の数を計200店以上にすることで、既に達成の見込みだという。お客が多いブランドのベスト3は、Ashima、Vuvuzela、SumoBBQだそうだ。

 

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