総力特集

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ベトナム製造業の弱点は裾野産業の未発達だ。その中で奮闘を続ける日系サプライヤー各社。国内市場に注力する日系企業は、ローカルや外資系に勝つために何をしているのか。キーワードは「日本方式の踏襲」だった。

 
 

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2004年にホーチミン市のアマタ工業団地に第1工場を竣工して2005年より稼働、2006年にホーチミン市内事務所、2010年に第2工場とハノイ工場、2014年には第3工場を設立したシオガイ精機ベトナム。機械加工、板金、製缶と幅広く事業を展開する。

 

単品から扱う幅広い製品

シオガイ精機ベトナムではホーチミン市内の設計事務所、アマタ工業団地内の第1、第2工場で機械加工、第2工場で板金、第3工場で製缶を行っており、全工場のマシン数は、マシニングセンター、タッピングセンター、NCフライス、汎用フライス、ベンダー、タレパンなどを合わせて130台ほどにもなる。

「鉄などを削る機械加工、鉄の薄板を打ち抜き、曲げる板金、鉄と鉄を溶接する製缶。この3つが揃っているサプライヤーはローカル、外資系を問わず少ないでしょう。タイプの異なる部品がいくつか必要になった場合に3部門が協力できるのと、日本人の専門技術スタッフの常駐が強みです」

例えば、装置に組み込む機械加工部品、製缶加工+機械加工部品、カバーや操作パネルなどの板金部品、架台や安全柵などの製缶部品などの、同時発注による品質の均一化は、確かに優位性が高い。

別の強みは、ミリ単位の部品から大型マシニングセンターで作る1m幅×3m長さの部品までを揃える幅の広さと、1品から届ける単品配送。また、調達できる鉄、アルミ、ステンレス、MCナイロンなどであれば、できる限り対応するという体制だ。

「目指すのは便利で何でも揃う『コンビニ』です。困ったら電話してくださいと、お客様には伝えています」

同社の顧客は日系企業が約9割で、残りはこれら企業から紹介されたローカルや外資系企業。主要顧客は日系大手の製造業、建設業、素材産業などだが、個人客にも対応する。まさに「ネジ1本から」の仕事だが、大ロットでの発注も当然ある。

1製作している部品

2第1工場内の様子

3第2工場内の様子

例えば、エアコンの室外機を壁に取り付けるための、ブラケットというL字型の金物部品。製缶で作るが、高層建築に使われるため、一般的な金物では台風や地震に耐えられない。ホテル用では、1室で3~4部屋があり、各部屋にエアコンがあるので、全300室ならば数千個という規模になる。全数検査を行うなど品質や丁寧な仕事が評価されて、口コミや紹介で仕事が広がっているという。

「うちは積極的に営業活動をしておらず、自社のPRはベトナムスケッチなどでの広告が中心です。リピーターが多いのもお客様の特徴ですね」

低価格よりも 精度を重視

同社の製品は国内向けが約60%、輸出が約40%で、輸出先はほぼ日本とヨーロッパという。当然、国内の同業他社と競うわけだが、価格面ではローカルや台湾、韓国、中国系のサプライヤーに勝てないだろうと語る。

「価格は努力しており、安い方だとは思います。ただ、彼らの安さの理由の一つが、精度へのこだわりのなさだと思うのです。また、整理、整頓、清掃、清潔、しつけ、プラス安全です。そこは譲れません」

例えば、同社ではマシンの刃物1つまで管理し、悪くなる前に取り換えている。ローカルなら悪くなるまで使用しているため、製作する部品の精度が落ちる。また、ISO-9001の取得により、工程毎に検査を行うなど、検査管理の徹底、測定機器管理の徹底など、トレーサビリティを充実させている。

このためコストは少し高めになるわけだが、ローカル他社などは機械や測定機器などのメンテナンス費用、検査費用が少なくなるので、価格が安くなっている。同社が同じ体制に変えれば価格は下げられるだろうが、「企業ポリシーが違う。利益だけを求めているわけではありません」。

一方で、岡村氏はベトナム人スタッフに期待している。工場と事務所を含めて約250人の従業員がいるが、ほとんどがベトナム人であり、同社のサービスの特徴である「短納期」も彼らが支えている。これを可能にしているのは生産管理と納期管理の徹底で、従業員にはプロ意識を教え込んでいるという。

ベトナムに赴任して3年。岡村氏は顧客のニーズがある程度読めるようになったと語る。それは、日本では当たり前に揃う物がこの国にはないからだ。例えば、配管でねじ込み継手ソケットは、水漏れやエアー漏れの防止に使うため、日本ではテーパーねじが一般的だが、ベトナムではストレートねじ。、これだと水漏れやエアー漏れを起こしてしまうが、ベトナム国内では調達が難しい。

また、今後は外に出していた作業を内製化したいと考えている。例えばレーザー加工機を導入して、素材を精密にカッティングするなど。アマタ工業団地には第1から第3工場が同じ敷地にあるが、空いている場所に第4工場を建設し、そこで実現したい考えだ。

「同業他社が追い上げてきても気にせず、一歩先行くようにGOING MY WAYで進みます」

 

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