総力特集

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成長期に入った小売市場で、日系企業が躍進している。コンビニやスーパーなど近代流通がベトナムに根付き始め、消費者のライフスタイルも変えようとしている。他の外資系企業や、地場小売業を押さえて勝つ秘訣は何か。独自の展開を続ける3企業のトップが語る。

 
 

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2014年1月にホーチミン市に1号店を出店。ベトナム初の日系大型ショッピングモールは大きな話題を呼び、同11月にビンズオン省に2号店、2015年10月にハノイに3号店、今年7月にはホーチミン市に4号店を出店。勢いは増すばかりだ。

積み重ねてきた店舗の工夫

「ハノイとホーチミン市で新店舗のための開発物件を交渉中です。毎年2~3店舗は出店したいですね。

商圏は100万人に1店舗と考えており、両都市を合わせると1500万人以上が住むので、15店舗。商圏の距離はバイクで15分程度と見ています」

1号店であるタンフーセラドン店を出店後、売上などの購買データや顧客データを参考に、多様な工夫を重ねてきた。 例えば、初年度のテト商戦で、いくつかの品切れ商品が出てしまったという。特定時期の顧客ニーズに加えて、サプライヤーや配送の状況もつかめなかったことが原因だが、2年目以降は改善させた。

2号店のビンズオンキャナリー店では、初年度の売上が目標に届かなかった。打った手は価格のダウンと、バイク生活に適した商品、ルームウェアなどローカル商材の追加。功を奏して今年2年目の売上は、前年比で130%近くアップしている。

「周辺に工業団地が多いので企業ニーズを調べ、ビンズオン省特有の商品、価格、売り方などへローカライズしました。店の従業員の意見を聞いて、お客様を調査し、他のローカル店と比べた結果、高めの単価と地域商品の欠落がわかったのです」

商品のオーバースペックを止め、物流を見直し、発注先や店のオペレーションを変えるなどして、コストダウンを図った。大切なのは「値ごろ感」で、実現のための「Good Enough Quality」を心掛けたそうだ。

3号店のハノイ、ロンビエン店は規模が最も大きな店舗。新興住宅地にあってポテンシャルは高いが、郊外店なので平日と週末・祝日で集客の差が激しい。それでも、売上は予定通りに推移しているという。

これまでのノウハウを集めた4号店のビンタン店はスタートダッシュに成功した。開店1ヶ月で230万人が来店し、他の3店舗の同時期の売上と来客数を共に抜いて、最高記録となったという。

「人気が高いのはレストランなどの飲食系と、シネマ、ボーリング、ゲームセンターなどのアミューズメント。劇的に伸びているのは塾などの教育サービスです。これからのキーワードは『子ども』で、イオンにはキッズ向けの売り場や遊び場にノウハウがあり、ベトナムでも充実させています」

イオングループとしての計画は、都市の中心部はグループ企業のコンビニ「ミニストップ」、都市部の小型スーパーは資本出資した地場のFivimartとAEON Citimartの出店を加速させ、郊外にGMS(総合スーパー)の「イオン」を展開する。ベトナム全土で、総合的な小売事業の展開を進める戦略だ。

激化する小売業界で一番になる

「ベトナム人は買物に慎重で、馴染みの店を大切にする」と西峠氏。御用達の店を変えるのには時間が掛かるが、イオンへの信頼感が上がり、リピーターが増えているという。その理由を「生鮮食料品」と感じており、既存店の売上の伸びが昨年比150%アップしているそうだ。

2ビンタン店の店内の様子

「安全、安心、買いやすさ。温度管理、安定供給、市場と比べて遜色ない価格。また、ベトナムではこれまで、テト前には一時的に商品の値段が上がる傾向がありますが、こうした時期にこそ、安く買ってもらえるように努力しています」

一方で伸びしろを感じているのが、アパレルや雑貨などの物販。ベトナムでは、生活支出の中で食料品が優先されているのも現実だが、衣料品と生活用品でのお客様支持を得ることがGMSの存在価値と感じている。

3タンフーセラドン店のスーパー

そのGMSの強みのひとつが「売り場編集」。多彩な分野から商品を集めて、例えば「健康ダイエット」などの売り場を作ることができる。加えて各種のイベントも盛況で、中秋月、バレンタイン、母の日、女性の日、先生の日、新入学などに合わせて、衣食住の商品を総合的に売場展開している。

「日本でハロウィンが定着し、関西地区の恵方巻が全国区になったような仕掛けを、ベトナムでもぜひ進めたいですね。新しいライフスタイルを提案するのも、私たちの仕事だと考えます」

今後はより独自性を出していくという。スーパーの生鮮食料品や子ども向けの商品・サービスといった成功モデルはブラッシュアップを重ねて伸ばしていく一方、ホームファッション、ヘルス・ビューティーなどの新しいカテゴリーを追加していく。

社内的には従業員の教育やトレーニングにより注力して、優秀なマネジメント層を育て、顧客へのサービスレベルも一層向上させていくそうだ。

「お客様のタイプや販売モデルは異なっても、小売業界には競合が多く、これから一気に競争が激化すると思います。

ただ、ベトナムでやっていける手ごたえはつかんだので、今後も様々な点で差別化を図りたい。ベトナムは一番を目指せる国だと思っていますから」

 

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