総力特集

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映画、テレビ、演劇、デジタル…ベトナムのエンターテインメントが急成長を遂げている。映画は興行収入が急増し、テレビではリアリティ番組が大ブーム、演劇は着実に顧客を獲得し、デジタルコンテンツが新市場を築く。豪華な業界の第一人者たちが内情を語る。

 

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ベトナムで大人気の「リアリティ番組」。主に海外の人気作品をライセンス放送する、視聴者参加型のテレビ番組だ。「Vietnam’s Next Top Model」でベトナムのファッションをレベルアップさせたテレビ制作会社のトップ、Ms. Trang Leが内情を語る。

ゼロスタートからファッションの世界へ

「2005年の会社設立当初は、海外のテレビ番組の放送権を購入して、40以上のベトナムのテレビ局に販売していました。2007年からはベトナム国営テレビ局のエンタメチャンネルVTV3と協力し、自社でテレビ番組の制作を始め、最初の作品である子ども(5~10歳)向けオーディション番組『ドレミ』がヒットしました。うれしかったですね」

ベトナムでは今、テレビの「リアリティ番組」が大ブームだ。予備審査を通過した一般の視聴者、あるいは歌手などの芸能人が複数人参加して、課題を克服しながら、勝ち抜いて優勝を目指す。番組は毎週1回1時間の放送、全6~12回で1シーズンとなるのが一般的である。

ジャンルはファッション、コメディ、音楽、ダンス、料理、子ども向けなど多彩で、日本の「料理の鉄人」や「SASUKE」も放送。各分野の著名人が審査員なのも番組の魅力で、視聴者から投票で勝敗が決まる場合も多い。前出の「ドレミ」は放送されると大ヒットとなり、毎回800万~1000万人の視聴者(オンラインを除く)を獲得。2015年まで8シーズンが続いた。

Ms. Trangが次に仕掛けたのが、米CBSの「America’s Next Top Model」。一般女性がトップモデルを目指すリアリティ番組で、既に100ヵ国以上でライセンス放送されている。ただ、交渉には3年がかかった。

「2007年当時はまだ会社が小さかったし、国際基準を満たした番組制作には膨大な投資資金が必要。プロフェッショナルなチームも求められるので信用がなかったのですが、調査の結果、2010年1月に放送権を取得しました」

2010年9月から「Vietnam’s Next Top Model」がスタート。テレビCM、広告、ビデオなどで宣伝すると数千人の応募者が集まり、番組は大成功。しかし、ベトナムの大学で財務や会計を専攻し、オーストラリアでMBAを取得した彼女は、これを確固たるビジネスにできないかと考えた。

mg_2003「Project Runway Vietnam」のシーン

アメリカ版や他国版では、各優勝者は自分で世に出る道を探さないといけないが、番組の成功には優勝者のその後の活躍が大切。そこで、モデル事務所と契約して優勝者をトレーニングし、仕事を紹介するなどフォローした。2シーズン目からはモデルの会社「BeU Models」を設立し、海外で活躍できる機会も探した。6年目となる現在まで、パリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンなどのファッションウィーク等で活躍するモデルが育っている。

「以前はゲームショー、次がベトナムのドラマ、3年ほど前からリアリティ番組が流行しています。その理由は、視聴者が参加者と自分を同一視できることでしょう。夢を持った人がステップアップしていく姿も共感を呼びますし、優勝で人生が好転した人もいて、視聴者も夢を見られるんですね」

ビジネスを左右するチャンネルと時間帯

モデルたちと海外のファッションショーに行く中で考えたのは、「ファッションデザイナーを育てたい」。米国から放送権を得て2013年から始めたのが、デザイナーを輩出する「Project Runway Vietnam」だ。

その次は「モデルやデザイナーが精力的に活躍できるファッションウィークをベトナムでも開催したい」。2014年12月にはホーチミン市で「ベトナム・インターナショナル・ファッション・ウィーク」(VIFW)を共同開催し、フランス、イタリア、日本などを含めて国内外の有名なファッションデザイナーが集まった。VIFWは毎年続き、2016年はホーチミン市で春夏、ハノイで秋冬コレクションを開催し、どちらも盛況となった。

番組制作会社の主な収入源は2つで、ひとつは番組のスポンサーから。スポンサー企業は番組内で看板などの広告を出したり、番組参加者の課題に自社製品が使われる。例えばサムスンであれば、番組でスマートフォンでの撮影大会が行われるなどだ。もうひとつはテレビCMで、テレビ局とCM料金をシェアする。

3今年ハノイで開催されたVIFW

大切となるのは、当然ながら番組が魅力的であること。もうひとつはテレビチャンネルと放送時間だ。人気のチャンネルは先のVTV3。次は同じエンタメチャンネルであるホーチミン市テレビ局のHTV7、あるいは総合チャンネルであるHTV9。人気の時間帯は夜8~10時のゴールデンタイムで、特に金曜、土曜、日曜が良く、一番が日曜日で広告料金も高くなるそうだ。

「制作会社も増えて、生き残りが始まっています。テレビ以外にオンライン番組、動画配信、モバイルなど市場が多様化しているので、テレビで放送したコンテンツをFBやYoutubeで流すなどのインタラクティブ性が今後は重要になると思います。制作会社は常に投資をして、アップデートしなければ生き残れないでしょうね」

 

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