総力特集

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映画、テレビ、演劇、デジタル…ベトナムのエンターテインメントが急成長を遂げている。映画は興行収入が急増し、テレビではリアリティ番組が大ブーム、演劇は着実に顧客を獲得し、デジタルコンテンツが新市場を築く。豪華な業界の第一人者たちが内情を語る。

 
 

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定期視聴者数400万人以上、YouTubeの年間動画再生回数150億回以上、チャンネル数800以上という、ベトナム最大級のデジタルコンテンツ配信会社がPOPS Worldwideだ。創業者兼CEOのMs. Nguyenが、急変するベトナムのデジタル市場を語る。

ライセンス事業から800チャンネルへ

「POPSのアイデアを思い付いたのは2007年。私はアメリカのサンフランシスコにいました。この年に資金を調達してベトナムに移り、POPS(POPS Worldwide)を設立。最初のコンテンツは音楽にしました。だって、ベトナムの文化の一つですし、どこに行っても聞くことができるでしょ」

起業後の歴史は、ベトナムのデジタルコンテンツのそれと重なる。まず、当時の音楽業界は著作権の意識が低く、作曲者やアーティストはその意味やメリット、収益化の方法も知らなかった。そこで彼女たちは地道に彼らを教育・説得してライセンス契約をし、iTunesやAmazon、Sportifyを介した音楽配信ビジネスを進めた。

5「POPS Music」のシーン

第2の変化は2011~2012年の、Webでのビデオ配信が盛んになった時代。ミュージックビデオを持つアーティストなどと契約し、彼らのコンテンツをYoutubeなどのデジタルプラットフォームと提携して配信した。ここでも再び説得が必要だったというが、現在ではベトナム国内の約90%の公式音楽コンテンツのライセンスを取得するまでになっている。

加えて、アーティストやクリエイターと協力して、音楽やコメディなどのオリジナルビデオの制作もスタート。彼らにアイデアはあっても、それを実現する制作やデザインのチームは持っていないそうで、投資する場合もあるという。

これらのコンテンツは同社独自の「チャンネル」から配信され、その数は現在800以上。特に人気なのは音楽の「POPS Music」で再生回数27億回以上、登録者数200万人以上。3~6歳の子ども向けの教育、エンタテインメントコンテンツ「POPS Kids」は再生回数10億回以上、登録者数79万人以上。コメディー・エンタテインメントの「POPS TV」は再生回数4億回以上、登録者数63万人以上という数字だ。

「私たちはViettel、MobiFone、VinaPhoneなどのベトナムのモバイル事業者とも協力してデジタルプラットフォームを作り、iTunes、Amazon、Deezer、Google Playと提携して国内外にベトナムのコンテンツを配信しています。アーティストたちをマネタイズさせる様々な方法を見つけることも、とても創造的です」

新ジャンルの作成とモバイルへのシフト

収益の方法は2つ。ひとつはYoutubeの広告表示で、広告費がYoutubeとシェアされる。もうひとつはパートナーで、クリエイターに加えて企業のオリジナルコンテンツ制作やプロモーションを行う。ブランド力アップや商品の宣伝をするのだが、大手企業ではPocari Sweat(大塚製薬)やNestleが顧客。前者は2012年の進出時からのパートナーだそうだ。

ベトナムのデジタル市場がユニークな点は、20以上のテレビ放送事業者があり、彼らがデジタルへの参入にとてもオープンなことだという。POPSにも番組コンテンツを提供しており、有名なテレビショーなども閲覧可能。加えて、ベトナムはYoutubeの視聴時間で世界トップ10。インターネット接続者は4500万人おり、うち3500万人がYoutubeを視聴しているとMs. Nguyen。こうした追い風もあって2015年末にはバンコクに支社を設立し、タイにも事業を拡げた。

「タイは大きな市場ですし、質の高いコンテンツと良好なインフラ環境でも知られています。また、デジタル広告市場はベトナムよりもはるかに成熟していますね。市場規模としては2013年と2014年はタイのほうが大きかったですが、その後ベトナムに移ったと思います」

6「POPS Kids」のシーン

7「Her Voice」のシーン

デジタル市場の急成長の理由は、場所と時間を選ばない「ビデオオンデマンド」。特にYoutubeの主たる視聴者は20代だ。彼らはせっかちであり、「好きなショーを見るために金曜日の夜8時まで待たない」とMs. Nguyenは言う。

「POPSは閲覧ビュー、チャンネル数、パートナーなど何でも毎年2倍になります。POPSの総視聴回数は今年で150億回に達して昨年より倍増。コンテンツパートナーも倍増して現在1100社以上です」

前出のPOPS Kidsは2014年のスタートで、同社はここ数年、子ども向けの高品質な音楽ビデオやアニメーションに注力してきた。オリジナルコンテンツだけでなく、米Turner社と提携して『トムとジェリー』、『ベン10』などBoomerang(ブーメラン)のアニメ動画も配信する。

これからは女性向けにフォーカスする計画で、11月末には、「Her Voice」というチャンネルを立ち上げ、女性の健康、美容、ファッション、課題解決などのコーナーを作っている。ほかにも、海外パートナーと提携したベトナム人に適したコンテンツの配信や、モバイル向けも強めていく予定だ。

「弊社は『POPS Kids TV』アプリを今年9月にiOSで、11月にはAndroidでリリースしました。コンテンツの視聴だけでなく、視聴時間の制限といった子どものための機能もあります。コンテンツの約60%はモバイルで閲覧されており、ユーザーのニーズにダイレクトに届きますからね」

 

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