総力特集

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ビジネス成否のカギとなるのが、提携・合弁先となる地場のベトナム企業だ。良いパートナーシップが組めれば事業は好転し、逆なら頓挫もあり得る。では、どんな企業をどう探せばよいのか? 事業実現までのカギとは?多業種の企業に本音を聞いた。

 

利用企業が急増中のインターネット広告を扱うインターネット広告代理店。ベトナムの新市場に向けて2012年に進出したMicroAd Vietnamは右肩上がりの成長を続けている。合弁相手は高いシェアを持つアドネットワークのAmbient Digital社だ。

20~30社と面談 最良パートナーを獲得

インターネット広告の出稿を専門とするインターネット広告代理店。テレビからネットにPR手法がシフトしつつあるベトナム市場において、日系企業としていち早く進出したのがマイクロアドだ。中国、インドネシアと海外展開を進め、3ヶ国目に選んだのがベトナム。地場大手Ambient Digitalとの合弁会社MicroAd Vietnamを2012年に設立した。
「日本と比較にならないほどデジタル広告が伸びており、日本の成長率は約110%ですが、ベトナムは150%近いのではないでしょうか。弊社では自社の広告配信プラットフォーム(DSP)『MicroAd BLADE』を使った広告出稿の他、GoogleやFacebook、アドネットワーク事業者を介した出稿も行っています」

アドネットワーク事業者とは数多くのポータルサイトや媒体サイトと提携した、広範な広告配信ネットワークを利用できる企業のこと。顧客ニーズに合ったWebサイトに広告を出稿できるので、インターネット広告代理店にとっては不可欠のパートナーとなる。MicroAd Vietnamの親会社である日本のマイクロアドもアドネットワーク事業を行っており、合弁相手のAmbient Digitalも同様だ。

「合弁で進出した大きな理由は、独資だと広告事業のライセンス取得に時間が掛かることでした。そのため、ライセンスを持つパートナー企業を探すのが大前提だったのです」

ただ、同じ代理店事業では業務がかち合ってしまう。ならば、国内の有力なアドネットワーク事業者と組めないかと探した結果がAmbient社だった。同社はタイやフィリピンなど海外展開にも積極的で、マイクロアドとの戦略が一致。同業界なので互いの事業を分かり合える素地もあった。

広告掲載イメージ

ただ、当初より「一発必中」は難しいと考え、牧田氏の前任である初代代表は50社ほどの候補をリストアップし、20~30社と会ったそうだ。パートナー選びの基準は、「進めたい事業への理解」と「ビジョンの認識」にズレがないこと。また、直接話し合う相手なので、代表と気が合うことも大切だという。

「今思えば、社員数など企業規模がほぼ同サイズだったのも好材料でした。実はFTPも候補だったのですが、相手が大きすぎますよね(笑)。Ambient社の代表は我々が外国人ということもあってか、とても親切にサポートしてくれます。会社の雰囲気も似ているし、これまで困ったことはありません」

設立5年目で顧客企業数は延べ1000社に迫る。他国でも同じだが3~4年目から売上が伸び始め、右肩上がりとなっていくそうだ。

顧客に合わせたPR 開発会社も設立

顧客は日系やその他の外資系もあるが、8~9割がローカル企業。自動車、二輪、教育、レストラン、家電など業界は様々で、多いのは不動産だ。NOVALANDやVINHOMESなどの大手デベロッパーが、新築の高級コンドミニアムなどの広告を出稿する。日本ではSUUMOなどの住宅サイトが顧客になることが多く、デベロッパーは少ないそうだが、ベトナムでは大型顧客となっているという。

また、中国では商品のPRやEC販売のプロモーションなど物販系の広告が多いが、ベトナムを含めた成長著しい東南アジアはその前段階で、企業のブランディングや認知向上が主たる目的だそうだ。顧客の狙いは自社HPへの誘導。自社商品を理解してもらうのが不可欠と考えており、HPでの説明や動画を見てもらい、次のステップとして購入につなげていく戦略だ。
「弊社はお客様にヒアリングして、消費者などのターゲットを設定し、広告手法を検討します。画像や動画を制作したり、カメラマンなど外部への依頼もあります。そして、最適な広告媒体をご提案します。Facebookであれば性別、年齢、未既婚などの属性がわかり、趣味趣向も想定できますから、対象者を絞って広告が出せるわけです」

広告配信管理ツール画面

広告料金は日本円で10万~1000万円くらい。週に1回の画像の出稿から、Youtube、Google、Facebook、専門媒体を総動員して集中的に宣伝するなどと幅広い。

同社はホーチミン市に設立されたが、ハノイを拠点とする企業からの問合せや依頼が増加し、2014年8月には同市に第2のオフィスを開設。また、2016年2月にはMicroAd Technology Developmentという開発会社を立ち上げた。広告の管理ツールや分析ツールなどを自社開発するためで、新たなサービスを今後は提供したいという。

「インターネット代理店業務は差別化が難しいので、独自の強みを持ち、ベトナムのインターネット広告代理店のトップ3に入りたいと思っています。市場シェアの3~5%を取れていると思うので、日本ならトップ5に入れるはずですが、詳しい業界データがないので肌感覚ではそんなに多くないと思っています(笑)。着実に上を目指したいですね」

 

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