総力特集

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前年比30%増で伸び続けるベトナムのEC(電子商取引)マーケット。市場規模は40億USDと日本の30分の1程度だが、2022年までに100億USDになるという試算もある。一方、品質、配送時間、キャンセルといった課題も多い。今と未来を業界の専門家たちに聞いた。

 

2015年11月にオープンした「agataJapan.com」は日本の商品を販売する特化型のECサイト。ECだけでなくカフェや卸とも連携させた独自のプラットフォームは、今秋に香港で初のフランチャイズ化を進める。

配送、品質、価格…全てを「きちんと」

「輸入した日本の商品やベトナムで生産された日系商品を販売しており、佐川急便ベトナムさんに配送を頼むなどオールジャパンで取り組んでいます。事業についてはベトナムECの問題解決から考えました」

問題のひとつは配送の遅れや商品が届かないこと。もうひとつは模造品などの偽物や、ハンドキャリーなど正規ルート以外で仕入れた商品が多いこと。前者については配送会社や出店企業と連携して、商品にもよるが早ければ朝の注文で当日中、基本的に翌日までの到着とした。後者は仕入れ元をしっかりと確認し、当然ながら正規ルート。その代りではないが、値引きや安売りはしていない。

テレビ番組のワンシーン

また、注力しているのがカスタマーフォローで、配送が遅れる場合は率先して連絡するなど、サポートチームが丁寧に対応している。

顧客の約8割はベトナム人。こうした努力の結果からか、返品率が高いベトナムでagataJapan.comのそれはほとんどゼロ。また、「きちんとした商品を正規の値段で販売」を心掛けており、調査はしていないが、顧客はある程度以上の所得層だと感じている。キャンセルが少ない理由はここにもありそうだ。

「割引キャンペーンが多いECサイトもありますが、莫大な広告費を掛けて値引きして利益を出せるのは体力のある事業者。小規模な我々ではありません」

現在取り扱うのはおよそ250ブランド、1600商品。月毎にヒット商品は変わり、和牛肉、LED照明、浄水器などがよく売れたという。和牛肉は現地日本人にしても高価格だが、何キロと購入するベトナム人もいるなど、「想定外の事態」も起こっている。

また、日本では1つの商品が売れるとその理由が推測でき、その商品を育てることで関連商品も売れるケースが多いそうだが、ベトナムでは違うと語る。

「毎月売れるものが違うので、理由や傾向がまだつかめていません。残念ながら仮説が立てられない状態です」

知名度が徐々に向上 フランチャイズ化へ

同社のモットーは「日本のよいものを世界へ、伝統のよいものを現代へ」。そのためのプラットフォームがECサイトのagataJapan.comであり、小売、飲食、卸、催事などとも連携させている。

「例えばイベントがあっても、プラットフォームとしてしっかりと作られていない場合が多いので、通販、小売、飲食などの出口につなげたいと思っています。これらの総合プラットフォームが『agata』です」

小売と飲食については2016年7月にオープンした「agataJapan.cafe」というカフェ。全41席、2階には茶室のスペースがあり、ECの商品を実体験できる場となっている。店内にはだしやポン酢、とろろ昆布などEC販売の商品が展示してあり、購入も可能。また、商品を使った料理も提供しており、人気メニューはうどんと抹茶パフェだそうだ。

agataJapan.cafeの店内

卸は商社的な事業で、同社は日本から商品を輸入しているのだが、これらはEC販売だけでなく和食店などにも卸している。催事はagataJapan.cafeでのイベントで、隔月ペースで開催。エンドユーザーと和食店向けに、豆腐など特定の食材をテーマにメニューを考え、試食をしてもらっている。来店するエンドユーザーは若い層が多く、まさに同社のターゲットゾーンという。これらEC、カフェ、卸は同程度の事業規模とのことだ。

「昨年11月から今年1月まで、国営放送VTV2でテレビ番組「Giao Luu Am Thuc VIET-NHAT ~日越料理交流~」を放送しました。日越のシェフ2人がアレンジ創作料理を作るのですが、調味料などをagataJapan.comで販売し、レシピ等も紹介しました。この効果もあって、日本好きのベトナム人にはかなり知名度が上がったと思います」

同社は日本でECサイト「老舗通販.net」を運営し、3代100年続く企業の商品を販売している。こうした特定カテゴリーでのトップ企業を目指しており、そのニッチなレベルはベトナムでは「老舗」ではなく、「日本」という切り口が模範としてマッチするという。

今後は各事業をより強めていくと同時に、EC、小売、飲食、卸をセットにしたプラットフォームを他国にも展開する予定。「47都道府県の良いものを世界195ヶ国に届ける」を目指しており、実際に日本の単価で展開できる国は70ヶ国程度と見ている。

「現在はagataのフランチャイズ化を進めており、今秋に香港で第1弾となるECサイトがオープンする予定です。培ってきたノウハウを伝えて、ぜひ他国でも成功してほしいですね」

 

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