総力特集

Feature


年間30%の成長で伸び、2016年は20億ドル規模に達したと言われるベトナムの化粧品市場。その9割が海外ブランドという特徴を持ち、女性の化粧意識の高まりや収入増に合わせて、商品数も参入企業も激増している。市場動向と各社の戦略について、日、韓、越、英の有名ブランドに取材した。

 

1997年から代理店販売をスタートさせた資生堂は今年で20年。高級化粧品として抜群の知名度を得た今、資生堂コスメティクスベトナムではプレミアム路線に加えて、新路線へも商品を展開させている。

4つのプレミアム商品 一般市場へも参入

1997年から代理店販売で「Shiseido」ブランドをスタート。2009年には輸入・販売会社である資生堂コスメティクスベトナムが設立された。同社は日本、アメリカ、フランス、台湾などから資生堂の商品を輸入し、ショッピングセンターなど大型店舗内で接客販売をしている。日本のデパートでよく見る、コンサルタントが顧客にアドバイスしながら販売するスタイルであり、同社のコンサルタントは約300人を数える。

「ベトナムの女性は、普段から日よけのマスクや日傘を使うように、肌を白くしたいという欲求が強い。そのため、スキンケアは肌が白い日系や韓国系ブランドのイメージが良く、口紅やファウンデーション等のメイクは欧米系が人気です。欧米モデルの化粧術などに憧れているようです」

また、化粧品の機能、効果、使用方法を知りたがる人が多く、「正しい情報」を求めているという。同社では年に二度ほど、日本から講師を招いてセミナーやワークショップを開催しているが、積極的に質問する女性が多くて講師が驚くほどだそうだ。

クレ・ド・ポー ボーテ

NARS

メインの商品ブランドはまさに「Shiseido」で、ベトナム高級ブランドの代名詞ともなっている。スキンケア、メイク、美白など様々なラインがあり、日本のものと同じ商品で価格もほぼ同じ。これはベトナムに限らず世界中どこでも同様で、ちなみに右上写真左の商品は約8000円とのこと。

その他、「クレ・ド・ポーボーテ」はさらに高級なスキンケアとメイクのブランド。「NARS」はメイクアップアーティストによる先進的なラインナップで、6月に発売された。Dolce&Gabbanaはイタリアブランドの香水だ。

Shiseidoを合わせたこの4つがプレミアム(高級)商品だが、上記3つはShiseidoの名をあえて出していない。
「Shiseidoブランドは長い間に『年長の女性が使う高級品』というイメージができ、メリットではあるのですが、逆にエキサイティングな若いイメージは難しい。一方で他のグループブランドは商品、ポスターやカウンターのデザインも変えており、そのためか、6月にオープンしたNARSの店舗にはファッションに敏感な若い女性が集りました」

近年特に注力しているのが一般的なマス市場向けの、スーパー、コンビニ、小売店などで売られる中価格商品だ。そのひとつ、スキンケアとメイクの「ZA」は資生堂のアジア向けブランドで、2015年から販売を強化。洗顔や日焼け止めの「専科」は日本のヒット商品で、今年から販売した。

プレミアム商品の主な購入者が30~40代の裕福な自営業者、富裕層の主婦、外資系OLであるのに対し、マス商品は良い商品を使いたいお洒落な学生、若いOLなどが対象だ。プレミアム商品は全国のショッピングモール内などの約30店舗で、マス商品は全国のスーパーやコンビニには直接、小規模な小売店には代理店経由で販売している。

影響大きい空港販売 今後は新商品を発売

同社の売上は10年前から伸びているが近年は勢いが良く、ベトナムは東南アジアの中で特に成長率が高い国のひとつだそうだ。その理由は、化粧品市場の拡大、収入増による新しい層の購入、新ブランドによる新顧客開拓などと見ている。

Dolce&Gabbana

ZA

「また、海外旅行や空港で購入した人の情報がスマホやSNSで拡散され、反応して買う人も増えているようです。資生堂は日本とアジア、空港の連携でインパクトを出していますから」

資生堂は空港の免税店販売も好調であり、空港や近年激増中の日本旅行で土産用に購入して、気に入り、自国で同じものを購入するケースも多いそうだ。そのため連携用のプロモーションに力を入れている。

「ただ、進出当時の海外ブランドは資生堂くらいでしたが、現在は様々な国から多種類のブランドが参入して競争が激化しています。古いブランドとして飽きられない努力は必須です」

プレミアム商品は価格は高いがパイが小さい。ここのシェアは取れていると思うので、現状維持を目指す。一方のマス商品は価格は安いがパイは大きい。今後はここでシェアを伸ばしたいと白須賀氏は語る。

同社ではベトナムの化粧品市場を約400億円、うちプレミアム商品が約100億円、マス商品が約300億円と見ている。ただし、一般的に化粧品市場に含まれるシャンプーや歯磨きなどのパーソナルケア商品は除いた、スキンケア、メイク、香水などの市場規模だ。

「プレミアム商品のお客様は価格だけでなくコンサルティングやブランドイメージを含めて購入しますが、マス商品のお客様は値段で選ぶ方が多い。そのため、できるだけ価格を抑え、『日本と同じ商品』で差別化を図ります。また、ブランドごとに対象のお客様が限定されてしまうので、新しいお客様獲得には新ブランドを出す必要があり、今後はマス商品で新商品を出す予定です」

 

1 2 3 4

ページの先頭へ