総力特集

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年間30%の成長で伸び、2016年は20億ドル規模に達したと言われるベトナムの化粧品市場。その9割が海外ブランドという特徴を持ち、女性の化粧意識の高まりや収入増に合わせて、商品数も参入企業も激増している。市場動向と各社の戦略について、日、韓、越、英の有名ブランドに取材した。

 

イギリスで生まれたThe Body Shop。メインの商品はスキンケアとボディケアであり、肌へのこだわりはひとしおだ。「化粧品は誰にも欠かせない商品」になると見ており、天然素材の安全性を武器に、ベトナムでの地位を確立する。

進出時より売上は4倍 6つの成長理由

The Body Shop VietnamはThe Body Shopの国内唯一のフランチャイジーであり、2009年に1号店がホーチミン市にオープン。現在では全国に21店舗、スタッフ約100人へと拡大している(2017年7月現在)。ラインナップはハーブ100%の商品を計43ライン、種類は1000以上。その特徴は肌に優しく、効果がはっきり出ることで、価格帯は約22万~160万VNDとなっている。

集中的に展開しているのは天然素材を使ったスキンケアとボディケアの商品。ボディケアなら古い角質の除去や黒ずみケアのボディスクラブ、保湿材、ボディローションなどで、フェイスケアでは洗顔料、スクラブ、クリーム、エッセンシャルオイルなどがある。敏感肌を含めた全ての肌タイプにマッチした、安全な商品を提供しているという。

SPA OF THE WORLD™
「ATLANTIC SEAWEED GEL-CREAM」

「毎年コンペティターが参入しますが弊社はプラス成長を続けており、2009年、2010年の頃に比べて売上は約4倍です。EC販売も毎月安定しており、今後はニーズ増に合わせて店舗を増やす予定です」

売上増の理由はプロフェッショナルなマネジメントとブランド戦略の他に、6つあると分析している。

ひとつ目は世界中から最良の原料を厳選していること。2つ目は原料を集めるだけでなく、現地の「ビューティケアの秘訣」もリサーチしていること。3つ目はパートナー企業を大切にして、環境問題等まで意識した取引をしていること。4つ目は顧客に健康的な商品を提供して、実感してもらっていること。5つ目は原料の情報を明らかにしていること。6つ目は天然素材を常に重視し、その価値を広めたいと考えていることだ。

また、店舗スタッフの影響もあるようだ。彼らはコンサルタントを兼ねており、顧客と接する前に商品知識と顧客ケアのトレーニングを終了させている。そのモットーは「ディティール」であり、些細なことまでスタッフ全体に浸透させている。

「顧客ケアの基本です。お客様が来店すると挨拶し、肌の状態とニーズを聞いて、トレーニングで得られた知識を活かして、肌のタイプに適した商品を紹介します。商品体験も無料でできますよ」

化粧品は一般消費財へ 第一優先は安全性

同社のヒット商品を4つ上げると、まず、DOYシリーズとして知られる「DROPS OF YOUTH™」の「YOUTH CONCENTRATE」。アンチエイジングにも効果があるスキンケア商品で、成分が早く肌に浸透して、オイリーにならないという。「TEA TREE OIL」は特にニキビ肌やオイリー肌向け。どんな気候の地域でも毎日使うとつやつや肌に改善するそうだ。

「MORINGA SHOWER GEL」は近年ベトナムでも人気のモリンガを使ったシャワージェル。健康に良いとされるモリンガの成分に保湿効果のハチミツが配合されている。「SPA OF THE WORLD™」の「ATLANTIC SEAWEED GEL-CREAM」はボディクリームで、保湿作用があり、肌を素早く回復させるという。

TEA TREE OIL

MORINGA SHOWER GEL

同社のターゲットは18~45歳の、モダンな生活している都会の女性。毎日化粧品を使う習慣がある人で、平均月収は450~1000万VNDを想定。特に肌と体のケアに関心あり、天然素材を意識して安心を求めている人だそうだ。

「ただ、実際のお客様は様々で、男性の愛用者も珍しくありません。The Body Shopの社会的な活動を認めて、信用してくれる方も多いですね」

The Body Shopは環境・動物保護や人権擁護などの活動を続けており、ベトナムにおいても「Where’s My Mama」、「Brighten Up A Woman’s Future」など多くのプロジェクトに参加している。最近では、化粧品の動物実験の廃止を目指す「Forever Against Animal Testing」活動を実践した。

ベトナムの化粧品市場については、経済発展と収入増により、「自分の体をケアする」ニーズで成長すると見ている。性別を問わず外見を気にし始めることで、化粧品は一般消費財に近づき、年齢や階層を問わず欠かせない商品へとなっていく。

もうひとつの理由は流通形態だ。The Body Shopのベトナム進出理由は、活発な若者が多く、成長ポテンシャルの高い新興市場だからだが、進出当時はスーパーやコンビニなどのモダントレードが発展していなかった。

「それがわずか数年で驚くほどのスピードで成長し、ショッピングセンターが続々とオープンして、多くの国際ブランドを誘致しました。自由貿易化が進めばさらにリテール(小売り)産業が活況となり、化粧品市場にも数多くのブランドが参入するでしょう」

そこで優位に感じているのは、ベトナムの女性が化粧品を選ぶ基準だ。同社では「第一優先は商品の安全性」であり、天然原料を使用した商品が大きく展開すると予想している。

「弊社の商品は本国イギリスの厳しい安全基準をクリアしており、クオリティは世界的に認められています。ベトナムで世界中の大ブランドと勝負して、その地位を確立していきます」

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