総力特集

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急増が続くベトナム人観光客の訪日アウトバウンド。 2017年の訪日人数は過去最大の30万人が見込まれている。彼らはどんな人々で、日本のどこへ行き、何をしているのか。 日系企業のマーケティングに、彼らの消費動向を活かしてほしい。
 
 

1995年創業でベトナム最大手と言われる旅行会社、ベトラベル。国内外からの多くの受賞歴があり、中でもWorld’s Leading Group Tour Operator 2017が光る。日本へのパッケージツアーは約30種類あり、その7割がゴールデンルートを回る。

主流はゴールデンルート できるだけ多くの場所へ

同社の海外ツアーでベトナム人旅行者が多い国は1位がタイ、2位がカンボジアで、3位がマレーシア。以下シンガポール、韓国と続き、日本は6位だという。タイは空路で近いうえに費用も安く、観光ビザの免除も人気の理由。隣国のカンボジアは陸路で行けて物価も安い。

観光するベトナム人旅行者

「日本はベトナムとの関係が良好ですし、有名な観光資源もたくさんあります。他国と比べて値段が高いので6位ですが、成長スピードではリーディングトップです」

出発日やシーズンにより異なるが、2018年1月発の東京、京都、神戸、大阪のツアーは5泊6日で4500万VND(約22万5000円)、2~12歳は3500万VND(約17万5000円)。ベトナムからベトナム人の添乗員が同行し、提携した日本の旅行会社が現地の日本人ガイドを派遣。ガイドの案内を添乗員が通訳するそうだ。

ツアー参加者は中間層が多く、男女比は半々で、ほとんどがカップルだという。また、季節で年代が異なり、子どもの学校が休みになる夏は家族連れが多く、桜と雪は特に若者が好むので春と冬は若い世代、過ごしやすく休日が取りにくい秋は年配者が多くなるそうだ。

同社のツアーはゴールデンルートがメインで、上記のような日本の大都市+富士山に行くことが多い。日程の割に滞在都市が多いハードスケジュールだが、それがベトナム人好みとか。

「ベトナム人はツアーでできるだけ多くの場所を巡るのが好きなんです。1つの旅で時間を最大限に生かすわけですが、どこの国でも同じ傾向です。日本では富士山が人気で、近くに1泊して温泉に入るコースも好まれます」

ベトラベルがよく利用される理由はまず支店と代理店の数で、ホーチミン市だけで12支店、全国で約500の代理店がある。オンライン販売も一早く始めており、PCやスマートフォンから予約や決済ができる。ベトナムの場合、Webで商品は見られても、予約は店舗に出向かなくてはならないことが多いそうだ。日本行きはぼほ毎日最低1ツアーが出発しており、参加人数が1人であっても実施するという。

「メンバーカードも発行しており、ポイントによってメンバーシップからシルバー、ゴールド、VIPに上がります。レストラン、ホテル、ショッピングモールなどが割引で利用できます」

毎年25~30%の売上増 広がる今後のツアー企画

この5年で若い旅行者が増加してきたとのこと。ツアー料金は決して安い金額ではないが、若者の収入は上がりつつあるし、旅費をサポートする親もいるそうだ。また、日本行きの商品の多様化も顕著。増えてきたリピーターは他の地域に行きたがるため、最近ではゴールデンルート以外のツアーも用意している。北海道、福島県、岐阜県などで、福島県は2018年2~4月にチャーター便を運航する予定だ。

「日本の各自治体と連携していますし、JNTOや各航空会社とも協力関係にあります。常に考えているのは新しいツアーです」

ベトナム人客の感想は良いものばかりで、日本の文化や伝統、ホテルやレストランのスタッフの「おもてなし」にも好感を持っているという。不満の声をほとんど聞かないのは、事前の説明にも理由がありそうだ。同社では部屋の狭さやWi-Fiがつながりにくいなどを伝えており、なるべく狭い部屋のホテルは避けたり、ポータブルWi-Fiをレンタルするなどのケアもしている。

ツアーにはスタンダードとVIPタイプの2つがあり、値段は約2倍違う。人気は低価格のスタンダードだが、5つ星ホテルの宿泊、グレードアップした料理、飛行機はビジネスクラスやプレミアムエコノミーで行くVIPタイプを成長させたいと考えている。

福島県知事とチャーター便運航の記者会見

「日本への観光客はこの2~3年で急激に増え、弊社の売上も毎年25~30%上がっています。弊社の2017年の訪日旅行者は、推計で約1万5000人です」

広がりを見せる日本旅行だが、富裕層に向けたメディカルツーリズム(診断や治療などを海外の病院で受けるツアー)の普及は難しいと考えている。参加人数が限られるので団体ツアーが組みにくく、個人旅行となるとビザ取得の問題が出てくる。加えて日本では医療費が高額なので、ならば価格やビザ、移動・滞在時間の点からもシンガポールなどが有力になるという。

「今後も当然ながら日本への観光客は拡大し、弊社にも大きなチャンスです。日本は6位なのですから、まだまだこれからの市場です」

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