総力特集

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順調に成長を続けるベトナム経済において、その動向が特に注目される分野がある。完成車の輸入関税が撤廃された「自動車」、急騰を続ける「株式」、バブル再燃とも言われた「不動産」、経済発展に連れて拡大する「物流」だ。第一人者に「2018年」を聞いた。

 

1994年に設立され、ベトナムの経済成長に併せた物流のニーズに応えてきたロジテムベトナム。課題はあるものの冷凍・冷蔵配送などの新サービスが普及し、小口配送へのシフトが起こり、ニーズに対応した多様化が徐々に始まっているという。

輸送量が10年で2倍 進むインフラ整備

ロジテムグループはベトナムにおいて、旅客運送事業のロジテムベトナムNO.1、総合物流事業のロジテムベトナムNO.2の他、物流業務拡大のためのロジテムベトナム、ホールディングス機能のロジテムベトナムホールディングス、貿易ライセンスを持つロジテムベトナムトレーディングの合計5社を持つ。冨山氏は物流系2社の代表取締役社長だ。現在はホーチミン市、ハノイ、ダナンに拠点を持ち、トラックはNO.2とロジテムベトナムを合わせて約400台がある。

「お客様のほとんどは日系企業です。設立当初はバイクや自動車関連のお客様の貨物が多く、精密機器、家電、食品と業種が広がり、近年では家電と食品が堅調に伸びています」


出典:ベトナム統計総局

最近の大きな変化は2014年の法改正で強化された過積載車両の取締り。過積載はベトナム企業に多く、罰金や営業停止の対象になるため、相対的に日系企業の競争力がアップした。同社もトラックの台数を増やすなどして対応したそうだ。

ただ、以前なら「安かろう、悪かろう」だったベトナム企業も次第にクオリティが上がり、高品質な物流サービスを持つ企業も増えているという。現在のベトナムの物流は日本並みのサービス水準に近付いており、競合は基本的に日系でも、ローカル企業は侮れないという。

この背景には質と量の両立に対するニーズ増があるだろう。ベトナム統計総局のデータによれば、2006年と比べた2016年の輸送量が2倍以上になっており、その内訳は輸送量がほぼ変わらない「鉄道」以外の「陸路」、「海運」、「空路」がほぼ2倍に伸びている。

「最近では都市部とその周辺で高速道路の建設やインフラの整備が進んでおり、弊社にとってもうれしい限りですが、全体的にはまだ弱くて特に地方都市は質が良くない。また、産業用道路と生活道路が一緒ですが、日本などの先進国はこれらが分かれているのでスムーズな配送ができます。都市部において、朝夕にトラックが進入できないなどの交通規制も課題ですね」

10年ほど前に話題となったミャンマー、タイ、ラオス、ベトナムを結ぶ「東西回廊」のニーズは伸びていないという。船便で7日程度、陸路では3~4日に短縮されるとしても、陸路では国境の税関で足止めされることもあり、しかも一般的に船便のほうが価格は安い。カンボジア、ベトナム、タイを結ぶ「南部回廊」でも、現状は船便が主要であり、陸路でのニーズは伸びていないのではないかという。

拡大する冷凍・冷蔵配送 小口配送や夜間配送に期待

今後の話題は専用のトラックと倉庫を使った冷凍・冷蔵配送。ロジテムベトナムの親会社に当たる日本ロジテム株式会社では、最新の冷蔵・冷凍倉庫を持つCLKコールドストレージを2015年に合弁で設立した。今後は特に食品の品質管理や食材ごとの温度管理のニーズが高まり、韓国系やタイ系の外資やベトナム企業も参入するだろうと冨山氏は見る。

ロジテムグループのトラック


ロジテムグループの倉庫

「コンビニやスーパーの増加に伴って温度管理が必要な商品が増えるため、南部はこの3年で冷凍・冷蔵倉庫の投資案件が増加しました。北部でも今後の増加が見込まれており、配送価格は高くても必ず普及すると思います」

物流会社で進むのは多層階の倉庫だそうだ。現在の主流は「平屋」だが、都心近くの土地価格の高騰と都市向け輸送量の増加から、今後は増えてくるという。また、日系大手食品会社が始めたような自動配車システムの導入が進むと予測する。工場、倉庫、小売店等を結んだシステム化によるルート配車は、これまで人による経験値に頼ってきたが、人件費の上昇もあり、ベトナム企業を含めて導入が進むと語る。

「食品や製造部品など全ての業種で、今年から徐々に共同小口配送が始まると思います。日本を含めて既に多くの国で導入されている方法です」

トラック1台に荷物が溜まるまで待って週に1回運ぶよりも、小分けして週に2~3回運ぶほうが顧客のニーズに合う場合が多い。ただ、トラックに空きスペースが出てはロスが生まれるので、各社の積合せといったサービスになりそうだ。
「配送量が増えれば24時間対応の夜間配送もあり得るでしょう。交通規制の問題はあっても、夜のうちに届けてほしいというニーズは確実にあると思います」

ベトナムはGDP比の物流費が比較的高いと言われるが、元々のコストが高いと冨山氏は語る。トラックなど自動車は高額で、土地代やガソリン代もGDP比では割高。一般道路にも料金所が点在している。これらへの支出を配送価格に反映せざるを得ないことが原因だそうだ。

「ロジテムの支店はベトナムの他に上海、ラオス、ミャンマー、タイ、香港、台湾、カンボジアにあり、堅調に推移しています」

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