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3000文字の良書梗概

ドイツ人はなぜ、1年に150日
休んでも仕事が回るのか 【前編】


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3000words_201602絶好調の経済状況をキープし、失業率も低く、欧州経済の牽引役となっているドイツ。勤勉な国民性で知られるだけに、その好調の原因は、国民がろくに休みも取らずに懸命に働いているからだと思われがちだ。だが、実際は大きく異なる。ドイツ人は土日祝日、有給休暇合わせて年間150日もの休日を取っているという。30日もある有休は100%消化される。それにもかかわらず、同国の労働生産性は日本の1.5倍なのだ。本書では、そうしたドイツの労働環境、法制、政策などについて詳しく解説したうえで、なぜ長時間働くことなく成果を上げられるのか、政治・経済の体制面も含めて探っている。そして、日本がそれに倣い、ワーク・ライフ・バランスを考慮しつつ生産性を上げていくには、具体的にどうしたらいいかを提言している。著者は元NHK記者で、1990年からドイツ・ミュンヘン在住のフリージャーナリストとして活躍している。

ドイツ人は30日間の有給休暇をほぼ完全に消化している

「ドイツ人のサラリーマンは、1年に150日休んでいる」と言うと、たいていの日本人サラリーマンはびっくりする。その内訳は、土日が1年で約100日、それに祝日やクリスマス休暇、有給休暇などを加えて150日になる。実際には150日以上休んでいるドイツ人も珍しくない。

ドイツ人は、他者のために行う労働の時間と、自分のために使う時間を厳密に区別する。そして、企業などが自由時間を侵すことを断固拒否し、自由時間の確保を重要視する。

ドイツでは日本以上に、休暇をとる権利が法律によって保障されている。1963年に施行された「最低限の休暇に関する法律」は、「全ての勤労者は1年間に最低24日間の有給休暇を取る権利がある」と定めている。しかも大半のドイツ企業が、労働組合との間の賃金協約に基づき、30日間の有給休暇を与えている。そして管理職以外の大半の社員は、当然の権利として30日間の休暇をほぼ完全に消化している。

ドイツでは仕事が人につくのではなく、企業についている。ドイツの企業では、管理職も含めて、「その人でなくては仕事がつとまらない」という状況は、ほとんどない。担当者が2週間会社に来なくても、他の社員がお客さんの問い合わせにすぐに対応できるように、書類や電子ファイルをわかりやすく整理しておくことが徹底されている。

労働安全局が抜き打ち検査も含め法令違反を厳しくチェック

企業に勤める勤労者が原則として全員、約30日の休暇を完全に消化しているにもかかわらず、この国は欧州で最高の経済パフォーマンスを見せている。この国は、青息吐息の欧州経済を引っ張る機関車役なのだ。

OECDのデータベースによると、2013年のドイツの労働生産性は1時間あたり61.4ドルで、日本(40.9ドル)を約50%上回っている。また、2012年の日本では、就業者1人あたりの1年間の平均労働時間は1745時間だった。これに対しドイツは1393時間で、約20%も短い。これに加えて、日本ではサービス残業が多いことも忘れてはならない。

なぜドイツの労働時間は短いのだろうか。その最大の理由は、政府が法律によって労働時間を厳しく規制し、違反がないかどうかについて監視していることだ。企業で働く社員の労働時間は、「労働時間法」によって規制されている。

ドイツでは労働安全局が立ち入り検査を行って、企業が労働時間法に違反していないかどうか厳しくチェックを行っている。ときおり事前の予告なしに企業を訪れて、労働時間の記録を点検する。検査をした結果、ある企業が社員を組織的に毎日10時間を超えて働かせていたり、週末に働かせたりしていたことが発覚すると、経営者は最高15000ユーロ(210万円)の罰金を科される。

メディアが「組織的に長時間労働を行わせて、労働時間法に違反していた」という事実を報じると、企業のイメージに深い傷がつく。現在ドイツでは優秀な人材が不足しているので、そのような報道が行われると、優秀な人材に敬遠されることになる。これは企業にとって、大きなマイナスである。

(次号に続く)

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